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学校帰りのスーパーで買ったのはにんじんと、ブラックペッパーの詰め替え用と蓮二さんに好きなお菓子買っていいよって言われたからカプリコ(いちご)。
まるで子供のおつかいみたいだ。
ちなみにブラックペッパーはミル付きのやつなので、毎回蓮二さんがフライパンの上でぐりぐりしてるんだけど、まるで三ツ星シェフみたいにかっこいい。





『あ、あの花・・』

お気に入りの白い壁にバラのアーチのお家。
あんまりお花にはくわしくないけど、わたしにもわかる。
小さい頃ママに教えてもらったむらさき色のお星さま、桔梗の花だ。
8月も下旬、新学期がスタートしたばかりの今日もまだまだ暑い。
つくつくぼうしががんばって鳴いている。
桔梗ってお花屋さんに売ってるのかな?
ママのところに置いたら喜んでくれるかな?

そんなことを思ったのが金曜日の話。















「上がっていったらどうだ」

「せっかくだからそうさせてもらおうかな」

そんな会話に耳をすませたのが日曜日の午後3時半。
玄関のチャイムが鳴ったと思ったら、どうやら幸村さんが来たみたいだ。





「お邪魔するね」

リビングに入ってきた幸村さんが持っていたのは、むらさき色の花束。




『幸村さんこんにちは・・・ってそれ、桔梗だあ!』


「あれ、よく知ってるね?うちの庭にたくさん咲いたからちょっとお裾分けに」

『ちょうど桔梗のお花買いに行こうと思ってたんです。ママにあげたいなって思って』

「ゆずちゃんのお母さんは桔梗が好きだったの?」

『ママがよく折り紙で作ってくれたんです。お星さまのお花だよって』

「そっか、思い出の花なんだね」

「記憶にはないかもしれないが、ゆずが昔住んでいた家の庭にも桔梗の花が咲いていたぞ」

それは知らなかった・・・!
パパとママと一緒の写真がしまってあるアルバム、あんまり見たことないけどそこには桔梗がうつってる写真があるのかな。






「桔梗はね、2月〜3月の冬が開ける頃に植え付けをするんだ。その頃になったらここの庭にも植えようか」

いいよね?と蓮二さんを見た幸村さん。
蓮二さんはいつもの優しい笑顔だった。




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