くま





『わわわ、やばい!お母さん朝ごはんいらないから!』

バタバタ足音を響かせながら玄関のドアを開ける。
寝癖を撫でつけながら、ローファーで全力疾走!なんて30秒も続かなくて結局歩く。







『光くんのせいだ』

久しぶりのデート。
かわいいクマのぬいぐるみを見つけて、欲しい欲しい騒いだら「あんなん1日あれば作れるやろ」とか光くんが言い出したのが2日前。

ほんとに1日でクマを作ってきたのが昨日。

まぁ確かに光くんは器用だけどさ、わたし女の子なのに男の子の光くんより劣ってない?劣りすぎてない?なんて思って作り方を電話で聞いたのが失敗だったんだ。









『おはよー』

「お前なぁ……とっくに授業始まっとんのやからな」

『ごめんなさーい』

けたけた笑いながら自分の席に荷物をおろす。
さて、1限目の数学は睡眠学習に変更しよう。


隣の席の白石くんがため息ついたような気がするけどまぁいいや。












「……ぱい、先輩、」

『…んぁ?』

「いつまで寝とるんすか?もう昼休みっすわ」

『えー!お昼ないから購買行かなきゃ!』

「そっちかいな!」

うんうん、謙也くん今日もいいツッコミありがとう。






「また寝坊っすか?ほんま、ダサいっすわ」

『光くんがなかなか電話切らせてくれなかったくせに』

「しゃーないやろ、先輩物覚え悪いんやから」

『違うよ、光くんが器用なんだよ』

「そんなん当たり前やないっすか」

『うわー、ナルシストだ!』

「ちゃいます」

『って、こんなこと話してる場合じゃないんだよ!』

時計を見れば、お昼休みはあと半分くらい。
急がなきゃ遠山くんに全部食べられちゃう!






「……これ、」

『ん?』

「先輩どうせ寝癖するやろ思て、弁当作ったりました」

『……え、』

「いらへんねやったら自分で食うし」

『いります欲しいです食べさせてください!』

ふい、と顔を背けながらも見える真っ赤な耳。





『ありがとう光くん』

「別にこれくらいええっすわ」
『お礼に今日、映画行こうか』

「どうせ昨日公開の3Dホラー見たいだけやろ?ぜっったい見ぃひんからな」

『ちぇっ、バレたか』






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