starry heavens | ナノ

______起きなさい

誰……?
私は起きたくないの
もう少し、もう少しだけ……








______あなたは何のためにこの世界に来たの




この世界?
この世界って何のこと?









______1987年、あなたがいた世界より10年ほど前の世界







あの夏、私は大切な人と出会った。最後の敵、吉良吉影と対峙して、それから………、

ねぇ教えて! 1987年の世界って、どういうこと?!








________あなたは最後の瞬間、何を願ったの




そうだ、私は

死んだのだ







そして願った


「もう一度、承太郎さんに会いたい」と。



最後の瞬間一瞬だけ見えた、吉良と共に爆発した私を見た時の彼の表情。
2度と彼にあのような表情はさせたくないと願った。







______ならば会いに行きなさい

そして救いなさい
大切な人を悲しませる全てのことから

彼を心から愛するあなたには、それが出来るはずだから_____










どういう意味?!あなたは誰なの?!











_____私はあなた、あなたは私



目が覚めれば、嫌でも理解するはずだから


これだけは覚えていて


_____あなたが最後の瞬間に願ったこと

もう一度彼に会いたい、彼の傍にいたい






迷ったら思い出しなさい
それがあなたの道標となるはずだから














待って!!まだ話は________


































「ねぇ、あなた。大丈夫?どうしたの?具合が悪いの?」

女性の声に自分の意識が浮上していくのを感じる。
ゆっくりと目を開ければどうやらここは外のようだ。辺りには遊具が並んでいることからここは何処かの公園だろう。
見慣れない景色に辺りをキョロキョロと見回す。
生まれた時から杜王町に住んでいるがこんな公園は知らない。



「…わ、たし、何で生きているの…?」
私は吉良吉影の爆発に巻き込まれて死んだはずだ。それが何故?
それに先程の夢は?


私の中には承太郎さんの元へ行かなくてはという思いだけが残っていた。
そんな私の様子を見た女性は具合が悪いと思ったのか詰め寄るように私の方へ顔を近づける。


「大丈夫?!やっぱり具合が悪いのね?!あぁ、どうしましょう?!」
近づいたことで必然的に目の前に来た女性の顔を見て私は驚く。

(外国人だ………!)


艶やかな金髪に綺麗なエメラルドグリーンの瞳。外人の知り合いなんていないはずだが、彼女からは何処か懐かしいような雰囲気を感じる。


「あなた!お名前は?!お住まいは何方かしら?!」

「…………えと、………名前です……。住まいは杜王町定禅寺通りです。」
その言葉に目の前の女性は首を傾ける。


「杜王………?ってM県よねぇ……。まぁ高校生なのに随分遠くまで……。
ご家族と旅行かしら?………あら、でも制服で?」

疑問符を浮かべる目の前の女性に対し私自身も似たような反応をする。
遠くまでって、まるでここが杜王町ではないような言い草ではないか。言っておくが自分は生まれてこの方一年に一度家族と行く旅行以外であまりS市内から出たことはない。

だが周りの見慣れない景色、そして何故自分はこんな所で寝ていたのか。
一抹の不安が胸をよぎる。


「あ、あの………ここは一体、何処なのですか?杜王町では……?」

「ここは東京よ?」

「……………へっ?」
そんな馬鹿な。私は眠っている間に東京まで来てしまったというのか。


「……………えーっと……、私、取り敢えず家に帰りますね。」
訳がわからない。
取り敢えずこの公園を出れば自分の知っている場所に出るかも知れない。
以前康一君と露伴先生と一緒に鈴美さんのいる不可思議な小道にも迷い込んだことがある。そういう系統かもしれない。

そう思い自分が眠りこけていたベンチから身を起こす。
だが女性に腕を掴まれたことによって前に進むことは叶わなかった。


「……………あの?」

「ダメよ!あなた、とても顔色が悪いわ!
うちがこの近くなの。落ち着くまで休んで行きなさい。
なんならうちから電話をかけてお家の方に迎えに来てもらえばいいわ!そうしましょう!」
優しく穏やかに見えた女性は思ったよりもかなり強引だった。
もう私がこの人の家に行くことは決定事項らしい。

がっしりと掴まれた腕に離れる意思がないことを悟ると私は抵抗するのを諦めたのだった。