step1 弟side



それはなんの前触れもなく始まった。
突然胸に違和感を感じたのだ。
胸というか、ち、乳首に。
初めは気のせいかと思うくらいの違和感だったが、10分もすると無視できなくなった。
気にしないようにと思うと余計に気になるのが人間ってものだ。
胸の上まで服をめくってまずは観察してみるが、姿見の前に立ってまじまじと乳首を見てもいつもの自分の乳首だと思った。
普段乳首なんて意識して見ないから分からないけど。
大体なんで男にも乳首があるんだ。
意味ないだろ。
でもただ見ていても何も分からないのでおそるおそる触ってみるとちょっとだけ、まじでほんのちょっとだけ、か、感じる?
そんな気がしなくもない。
なんていうか、感じる一歩手前みたいなもどかしいような……
ってもどかしいってなんだよ。
そんなはずはない。
俺は乳首で感じたりなんかしない。
男の乳首は意味のないものなんだ。

なんだか言いしれない不安を感じて服を戻し、それ以上考えない事にした。
だけど考えないようにと思えば思うほど違和感を意識してしまう。
気のせいじゃなければだんだん違和感は強くなってきている。
まるで何かに触られているような違和感。

結局何をしても気を紛らわせる事は出来なくて、夕飯までただ違和感に耐えて過ごした。





夕飯後、俺は自分の体の状態が信じられずに自室で立ち尽くしていた。
食事中も乳首の違和感はなくならず、それどころかますます強くなっていった。
それまではただ触られているような感じしかなかったのに、撫でられたり押さえつけられたりしている感じになった。
そして夕飯のおかずを飲み込む瞬間、一際強い違和感を感じて3割くらい反応してしまった。
何がって、ちんこが。
なんて事だ。
乳首で反応してしまうなんて。
しかも食事中だったのが余計にショックだった。

今も乳首の違和感は続いていて、ちんこはもう半勃ちだ。
すっかり意気消沈した俺だがちんこが辛い。
中途半端に反応してそれ以上育つでもなく、かといって萎えることもない。
いつもならなんのためらいもなく抜くところだが、よく分からない自分の体の反応が怖くて何も出来ないでいる。

立ち尽くしたままでいると、ベッドの上に放置していた携帯が鳴り出した。
電話の着信音だ。
誰だか知らないけど俺は今電話に出られる状態じゃない。
無視していたらそのうち鳴りやんだが、間髪あけずに再び着信音が鳴り響く。
再び無視して電話が鳴り止むのを待つ。
一体誰だよ出ないんだから用事あるならメールでもすればいいのに。
電話が鳴りやんでから着信を確認すると、とっくに家を出た年の離れた兄貴からだった。
なんだあのヤロー殺すぞ。
そう思っていたらまた着信。
もちろん兄からだ。
こうなったら徹底的に無視してやろうと決意するがその後も着信は続き、結局5回目の着信で電話に出てしまった。

兄からの電話はなんの内容も無かった。
なんでかけてきたのか不明。
かわいい弟とか言われて鳥肌が立った。
こいつ研究のしすぎで頭おかしくなったんじゃねえのか。
ありえる。

恐ろしいのは兄と電話している間にも違和感は続いて、しかもちんこにまで違和感を感じるようになった事だ。
しかも自分の意志とは関係なく体が動いて勝手におかしなポーズになった。
認めたくはないが俺はとても感じていた。
だけどまだ恐怖の方が強かったんだ、このころまでは。





ちんこの先っぽだけを弄られてどれくらい時間が経ったのかは分からない。
俺の持っている時計は今耳に当てている携帯だけだ。
とにかくとても長い時間に感じた。
俺はもう恐怖よりも快感に溺れ始めていて、イきたくて仕方が無かった。
普段自分でするときには出さないような声を出して感じていた。
もうとっくに限界は超えているはずなのに、めちゃくちゃ感じるのに、快感が強すぎるせいかイけない。
携帯を持っているのと反対の手はちんこを握っているけどピクリとも動かせない。
このままぐちゃぐちゃに扱いたらものすごく気持ちよくイけるだろう。
想像だけでイきそうになるのにやっぱりイけなくて涙で視界が滲んだ。
すげえ切ない。
俺こんなに我慢した事ってない。
なんでもいいから出したい。
そう思っていると耳に当てているだけの携帯からたまに兄貴の声が聞こえてきて、その度に存在を思い出し激しい羞恥に襲われる。
何度かそんな事を繰り返して、次第に兄貴の事なんかどうでもよくなってきた頃、急に手が動くようになった。

それはもうこれでもかってくらい必死に扱いた。
扱いてる間もちんこの先っぽはめちゃくちゃに弄られてて、ケツの穴もぐりぐりされてて、ちんことケツの穴の間のところも強く押されている。
よく分からないけどすごく気持ちよくて、気持ちいいって事しか考えられなくて、俺は感じまくった。
ついにイける。
この瞬間をどれだけ待ち望んでいた事が。
するとじわじわと感じる程度だった乳首が、急にぎゅうっと抓られた。ように感じた。
その瞬間俺は今まで感じたことがない激しい射精感を感じて、イった。
何か口走った気がしたが自分が何を言っているのかなんて認識出来ないくらいに感じていた。
気持ちよすぎてやばい。
クセになりそうだ。

長時間焦らした結果、射精は長く、量も凄かった。
何回かに分けて吐き出されたそれはベッドを盛大に汚していた。
に、人間って1回でこんなに出せるんだ……。

自分の事だけどその量を見て引いていた俺はしかしそれどころじゃなかった。
まだ体中弄られているのだ。
イったばっかて辛いのに、俺のちんこはまた勃ち始めていた。
ちんこは先っぽばっかりぐりぐりされているし、乳首なんて痛いくらいに引っ張られていて、なのに気持ちよくて。
おかしくなる、そう思った瞬間にすべての刺激がなくなった。
残念だなんて思ってない絶対。
弄られてたところがうずうずして物足りないとか思ってない断じて。
とりあえずキモイ兄貴は置いといてもっかい抜こう。
そう思い俺は電話を切った。





冷静になってベッドを見ると恐ろしい事になっていた。

あれからなかなか熱は冷めなかった。
体の自由がなくなる事はなかったけど、あちこちに感じる疼きはなかなか収まらなくて、何度も何度も達した。
最後の方はもう出すものもなくて辛かった。
特に乳首とちんこは触るとヒリヒリする。
ふと姿見に移った自分をみると、乳首もちんこも先っぽが真っ赤になってて、乳首はちょっと腫れていた。
興奮が覚めるとまた言いしれない不安がよみがえってきた。
俺の体どっか変なんだろうか。

風呂の後、ネットで調べたけど急に乳首が疼き出す事については何も分からなかった。
かわりに開発された乳首の画像や乳首開発についてのスレッドが沢山ヒットした。
スレッドの方は怖くて見れなかったが画像は目に入ってしまった。
男とは思えないくらいに肥大した乳首や、人間とは思えないくらいに引き伸ばされた乳首。
それを見て、それまで漠然と感じていた不安が完全に恐怖に変わった。


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© 2013.08 紺野
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