つめこみ love you



放課後、夕陽が射し込む部室で大海は紫を壁に追いつめていた(いわゆる壁ドン)


「これ以上好きにさせんなよ。」
「!!」
「言えよ、俺が欲しいって。」



そして、紫の顎を片手で上げ(いわゆる顎クイ)この上ない意地悪な笑みを浮かべた

大海はそのまま紫に顔を近付け、もう少しでクチビルに触れそうになった瞬間………



「ドゴッッ。」


紫のパンチが大海の鳩尾に落ちた



「北条!調子に乗るな。」
「痛いです。紫サン。演技なんだから仕方がないじゃないですか。」
「そのわりにはノリノリだったじゃん!」
「吉野、当たり前でしょ?紫サン相手に手を抜くわけがないでしょ。」
「それにしても恥ずかしげもなくよく出来るな。」
「だから紫サンだからですよ。」



部室で何をしていたかというと、小出高校には3月初めに行われる伝統行事の練習をしていた

その伝統行事はfarewell party for third-year students(三年生を送る会)と呼ばれ、毎年、運動部、文化部関係なく1つの部活が選ばれテーマに沿った演技を披露する
今年は順番で文芸部が担当する事になった



「伝統とはいえこれは恥ずかしいわね。」
「テーマがテーマだしね。」
「『女子が男子に言われて嬉しいセリフ』だしな。」
「因みに去年は『熱烈プロポーズ』だったんですねー♪」


男子に言われたいセリフはランキングからクジで2つ決めていた



「さっ、かんな。次は俺達がやろう。」
「こう兄、卒業する側なのに協力してくれてありがとう。」
「いいんだ。人数が足りないときは、生徒会が協力する事になっている。(他の奴にやらせてたまるか)」
「うん。」



浩輝はかんなを後から抱きしめ、かんなの肩に頭を乗せ囁く(多分、肩ズン)


「馬鹿、逃さねぇよ。」
「//////////// 」
「言えよ、俺が欲しいって。」



浩輝はかんなを回転させ自分に向かせた
そして自分の親指にキスをし、その親指でかんなのクチビルに触れた(いわゆる親指キス)



「きぃやぁぁぁ!!」
「吉野うるさい。」
「だって、北条くん見た?ねえ、見た?キャー!!」
「見たよ。あっ、紫サンも佐伯センパイも真っ赤になって固まってる。」


紫と志乃は演技とはいえ、2人のやり取りに立ち尽くしていた


「こ、こう兄、よく平気だね。」
「まあな。(かんなは俺のだとみせつけれるからな)」
「次は椎名先生いけますか?」
「...うん。ヒロくん。」



椎名は大海に嬉しそうに抱きついた


「椎名先生。僕にではなく、佐伯先輩にですよ?」
「...え?そうなの...?うん、分かった。」
「しかし男子メンバーが足りないとはいえ、先生が出ていいんですか?宮本先輩。」
「問題はないらしい。この行事はある意味お祭り騒ぎだからな。」
「それに椎名先生的にも佐伯先輩にアレを他の男子にされるのは嫌みたいでしたから。」



椎名は志乃を椅子に座らせ自分も隣に座った
そして志乃の髪を掬い、髪にキスを落とす、そして...


「お前の初めて全部俺が貰うから。」


志乃は恥ずかしくなり立とうとする
しかしそれを制し、志乃を抱きしめる


「馬鹿、逃さねぇよ。」



余りの甘いセリフに、その場にいる誰もが言葉を発せずにいた



「これでいいの...?」
「あっ、はい。椎名先生バッチリでしたね。」
「志乃ちゃん大丈夫か?」
「心臓が痛い...。」



椎名先生の熱演に一同がまだ動揺するなか、明るく元気な声が響いた


「次はなのの番でーす!あれ?ひーくんどこー?」
「あら?下野君が見当たらないわね。」
「下野はどこだ?」



なの、かんな、浩輝が辺りを見回すが聖の姿が見当たらない


「ねえ、下野そこで何やってるの?」
「何もしていない。」
「居たのか?北条。」
「紫サン。下野、居ましたよ。」


掃除道具の中に隠れていた聖を引っ張り出す大海



「ひーくん、かくれんぼしてたの?」
「するか!クルクルパーがっ!」
「次、吉野と下野の番なんだけど。」
「嫌だ。なぜ俺がこんなことしなくてはならないんだ。」
「下野。腹をくくれ。気合いで乗り越えろ。」
「いくら宮本先輩の頼みでも出来ません。」
「往生際の悪い奴だ。」



大海が逃げようとする聖を羽交い締めにし、そこに全力でダイブするなの


「もー!ひーくんがしてくれないならあたしがするー!」
「はぁ!?」
「行け、吉野。」



大海が聖から離れた瞬間なのは聖を床に押し倒した(きっと床ドン)



「他の女なんて見ないであたしを見て。貴方はあたしのでしょ?」
「なっ////// 」
「あたしには何されてもいいって言って。」


なのは聖のクチビルと首筋を指でなぞった


「や、やめろー!!」


聖はなのを思いきり押し退けた


「いったーい!ひーくんのバカ。」
「お、お前がバカな事するからだろ!」
「あら、なのちゃんのほうがよっぽど男前だったわよ。」
「そうだ。なのっち、カッコよかったぞ。」
「うん、アタシもそう思った。」
「エヘヘヘ。」

「仕方がないよ。下野は乙女だから。」
「あー...。確かに。」
「み、宮本先輩まで。」
「ひじりんは...聖子ちゃん?」
「ぶはっ。椎名先生、ナイスです。」
「ヒロくんに...褒められた。」



ヘタレな行動をとった為、暫く文芸部の間で『聖子ちゃん』と呼ばれる羽目になった聖


そしてその問題の伝統行事はインフルエンザが大流行した為、中止となった



「とにかく良かったわ。」
「ああ。一安心だ。」
「運が良かったのかな?」
「あたしは残念ですー。」
「聖子ちゃん、挽回出来るチャンスだったのにね?ぶぶ。」
「聖子ちゃんと呼ぶな!北条!」



ふと疑問に思った事を志乃は浩輝に尋ねた


「宮本先輩、中止になった場合は来年に回されますか?」
「いや、順番がもう決まっているから文芸部はもう当分ないな。」
「心底安心した。」
「あら下野くん。来年の担当は弓道部みたいよ?」
「は?」
「良かったねー、弓道部でなら本領発揮出来るじゃん。聖子ちゃん。」
「キャー!ひーくんと来年もイチャイチャ出来るー。」
「嫌だーー!!」



聖の虚しい叫び声が部室に木霊した



つめこみ love you


(来年は見物ね)
(ビデオにしかと撮らないとね)
(私達が卒業するんだ、全力でやってもらわなくてはな)




fin


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