本当は○○なkoideko童話〜白雪姫変C



そんなある日。お城では…


「鏡よ鏡……小出高校の中で一番、微生物を愛してやまないのは誰?」

よし♪今度こそ俺!
白雪志乃姫は始末したしぃ〜、あれからの日々で微生物愛は深まる一方だしぃ〜♪

ルンルンと上機嫌で小躍りしながら、鏡の精椎名に問う継母椎名。



だけど…鏡の精椎名の返答は芳しい物ではなかった。


「はぁ!?白雪志乃姫ですよ。生きてますしぃ〜」

やたら継母椎名に挑戦的に答える 鏡の精椎名。どうやら継母椎名のテンションがお気に召さなかった様子。




「なにぃぃぃぃ白雪志乃姫だとぅぅ〜
鏡の精!その物言いは何!?アンタあの娘が、ちょっと可愛いからって贔屓してない?」


「確かにアンタより、白雪志乃姫の方が美人だが、顔の造形なんて皮一枚めくったら大差ない。目が三つある訳じゃあるまいし
だから興味もない。従って贔屓なんてあり得ない。

白雪志乃姫を贔屓してる様に見えるとしたら…それはアンタの性格が好きじゃないからだな。純粋に。」

心底面倒くさそうに答える鏡の精椎名。


"……………ムキ────────ッ"


「余計ムカツク!ちょっと始末しに行ってくるわ!一番は私よ!!譲るもんですかっ!」

鏡の精椎名に白雪志乃姫の方が美人だと言われ…ちょっぴり根に持った継母椎名は、考えました。


白雪志乃姫の美しさは

雪のように白い肌。血のように赤い頬や唇。
そして…黒檀の木のように黒い艶やかな髪。



「よし。髪を標的に呪いをかけましょう!」




"たしか…御中元の中に
あった。あった!柘植の櫛。"

御中元部屋と化した物置部屋をかき回し、探し出してきた継母椎名。意外と庶民派です。

"あとは…マンドラゴラ・オフィシナルムとヘンルーダがあれば…

…あった。あった。"



…御中元にそんな物があろうとは・・・・・・庶民派は訂正。やはり(魔女な)女王様でした。


それらを

"タタラタッタタ、タタラタッタッタラ〜"
オモチャの兵隊〜キューピー3分クッキングverを鼻唄で歌いながら、鍋をかき回します。


???…やはり庶民派かもしれません。




まぁ、そんな事はさておき。柘植の櫛を煮汁に浸し乾かした後。呪文を唱えます。



「それが頭に刺さってる間。 Petrificus Totalus(ペトリフィカス・トタルス=石になれ)」




ヒソヒソ…
「…ハリポタだ。」
「手抜きじゃね?」
「しっ!聞こえたら、またやる気を無くすから…」
「それはマズイ」
「そうなったら、大海を投入するしか手がないな。」
「それは、果てしなくマズイな。話が無茶苦茶になる。」
「……なら、そろそろ黙ろうか。」

ゴゴゴゴゴゴと音がしそうな雰囲気をバックに漂わせ、ボソボソと話すのが、余計…


"""" こう兄。怖い…。""""









舞台裏の騒がしさも知らず、継母椎名は、いそいそと物売りに変装しています。
「もう!この美貌を隠すのも一苦労だわ♪プリプリ


文句を言っているのですが、至極楽しそうなんですが!!




継母椎名は山を7つ越える事に またもや文句を言いながら(今度は本気)白雪志乃姫の元へ




「そこの…オホホッ
可愛らしいお嬢ちゃん。この柘植の櫛はいらんかな?お安くしときますよ。」

継母椎名は、思わず本音の"クソ生意気な…"と言いかけ愛想笑いで誤魔化しました。


「お婆さん。ごめんなさい。私お金を持ってないの。」
ションボリと可愛らしく項垂れる白雪志乃姫。


可愛いなのに継母椎名は

"つべこべ言わずに、とっとと髪をとかしゃ良いのに!!"などと内心毒気づいてました。




「あぁ…そうなんだね。
でも折角だから、その美しい御髪(オグシ)をこの櫛でとかせておくれ」

ジリジリと白雪志乃姫に迫っていく物売りに変装した継母椎名。

素直な白雪志乃姫は、椅子に座り大人しく待ってます。


サラサラ…
白雪志乃姫の 漆黒の艶やかな髪に櫛を通し、頭皮に櫛を突き刺しました!


継母椎名は、椅子から崩れ落ちた白雪志乃姫の呼吸が止まった事を確認し高笑いをしながらお城へ帰って行きました。








「ハイホ〜♪ハイホ〜 …何回やらすんだ。」


「 !!!!!!! オイ!白雪志乃姫が倒れてるぞっっっ!!」

「白雪しのぅぅぅぅぅぅしめぃぃぃぃ」


「エ──────ンエンエン」「美しい白雪志乃姫の髪に、この櫛は似合わない。」

おとぼけ椎名(小人)が、白雪志乃姫の頭に刺さった櫛を勢い良く抜くと……



「「「「「「「 えっ!? え───っ 」」」」」」」


白雪志乃姫の息が、吹き返った。


「……えっ?なぁに?」
パチッと白雪志乃姫の可愛い瞳が開いた。


「万歳!」
「バンザイ!」
「バンザイ万歳バンザ〜イ」
「やった〜!」




今宵は夜通し お祝いパーティになりそうです。
その一方。お城では…やはり






「鏡よ鏡……
小出高校の中で一番、微生物を愛してやまないのは…今度こそ! 誰?」


…こうなります。勿論。



継母椎名の問いに鏡の精椎名は答えます。
「アンタ……馬鹿だと思っていたが、違うな。アホだ。」


「き───────っ
アンタ!私の事を気軽に"アンタアンタ"と呼ぶけど、気品ある私はアンタの事を"アンタ"と呼んだ事がないんだから、アンタも気高い私の事を"アンタ"って呼ばないでよね!アンタ!!」


一気に捲し立てた継母椎名は、肩で息をしながら言いきりました。
息を調えて…


「で、国一番の微生物好きは誰なのよ?勿論。私でしょ!勿体つけず、さっさと仕事しなさいよ!!」

腰に手を当てて、胸を反らして威張っています。






「……あんたこそ、手ぬるいな。
櫛を取るだけで生き返る呪いだなんて」

一応素直に鏡の精椎名は、継母椎名の名称を片仮名表記(アンタ)から平仮名表記(あんた)に変えて、
ついでに暗に白雪志乃姫が生きてる事と諸々…示唆しました。



「ちょっと何が言いたいのよ?私があんな小娘に情をかけてるとでも!?
いいわよ。いいわよ。極冷徹の女王と謂わしめた私の実力を見せてあげるわよ!」

ハンカチを噛み締め、声をあらげながら地団駄を踏む継母椎名。


やがて、その勢いで床をダンダンと踏みしめて部屋を出でいく様を 鏡の精椎名は黙って見送りました。

本当は手があれば、両手を上げて肩を竦めたい所なんですが…ないので仕方ありません。




やれやれ
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