本当は○○なkoideko童話〜シンデレラ変E |
『頼もう〜』 「こんな真夜中に迷惑だから帰って!」 大海継母は不機嫌極まりなく、反射的にそう返答しました。 王子様は継姉達に興味を全く示さず、違う娘達に次々心を奪われてしまいました。これでは手のかかる継姉達を片付け…オホン嫁にやり、(片)思い人紫さんとイチャイチャ老後を過ごす計画が、第一段階から暗礁に乗り上げてしまいました。 思惑通りに行かずイライラ、疲れて帰って来た途端に これですから当然の反応です。 『ほな帰…るかぁ〜 馬鹿ぁぁぁ』 吉本新喜劇みたいなボケをかましながら、なの王子は門を蹴破りました。 「?!なの王子…様。」 大海継母の頭の中にはクエッションマークで一杯です。 しかしながら、相手が王子様なので門扉の修理代はガッツリ頂ける。と秘かに安堵しておりました。 でないと、物語を進める前に修理代+αの言質を取るために 『シンデレラ嬢と結婚させて下さい!』 あ〜好みはこっちだったか。うちの娘達も(欲望に)素直で、ある意味可愛いのに。 しかし、シンデレラの唐変木じゃ紫さんラブラブ計画に協力してくれそうにもないからなぁ 瞳を細め何処か遠くを見つめる様な穏やかな表情をしながら、腹黒い計算している大海継母でした。 「えーっ、家事してくれる人居なくなるし〜困る。」 『大切に……(えっ!?そっちの理由?) エッと、変わりのメイドを連れてくるから結婚させて!』 「嫌だ(即答)。」 『そこをなんとか!』 「絶対イヤ!」 なの王子はジャンピング土下座しながら、『お願いします!』 王子としてのプライドもかなぐり捨ててお願いしました。 大海継母は、これだけ勿体つければそろそろ良いかな?と頃合いを図りました。 「どうしても…と言うならば 紫さんを(お嫁に)くれるなら良いよ♪」 大海継母ため息をつきつつ、イヤいや渋々といった風情ですが… 小さい声で本懐を ちゃっかり告げています。 『勿論♪OKですよ』 なの王子から許可が出た途端に 大海継母は 抑えきれなかった満面の笑みを浮かべています。 シンデレラは思わず、大海お継母さまの その笑顔に引き込まれてしまいました。 あの笑顔の邪魔をしたら…と本能が 何かを感じ取ったようで震えています。流石です。 ♪ドナ ドナ ドナ ドナ シンデレラを 乗せて♪ ♪ドナ ドナ ドナ ドナ 荷馬車が 揺れる♪ めでたし♪めでたし♪(笑) ……………ハッ めでたし♪めでたし♪じゃ、ねぇ〜よ! だけどぅ… 実を言うと 俺はなの王子に一目惚れしたんだ。 その瞬間にプロポーズされて拉致られかけ…な、怒濤の展開に内心パニックを起こしかけ‥‥‥‥‥‥‥‥焦って慌てて逃げた。 物理的な距離も。この気持ちからも。 異常な状況からくる心理異常だと、自分自身に言い聞かせて。 なのになのに!!二度目に会った時も 一目で"好きだな"って思ってしまった自分に驚いてる…。 あぁ!一番俺がビックリしてるんだよ。悪りぃか ゆっくりジックリ愛を育てていきたい。そんな堅実志向なはずな自分なのに… このまま流されて良いのか?と疑問は大いに残るところでは あるんだが… やっぱり好き。 なんだよなぁ〜 なんか悔しいけど、しゃ〜ねぇ〜か。 このまま愛ある生活。"末永く幸せに暮らしました。"をしてやるか。 豪華な馬車に揺られる車内。なの王子から熱烈な頬擦りを受けながら、そう覚悟を決めた。 完。 |