本当は◯◯なCoideko童話 -白雪姫変- @ |
昔むかし、白雪姫というお姫様がおりまし た。 母を早くに亡くした姫を不憫に思った父王は、彼女のためにもと新しい母を迎えました。 ところがこの新しい母となったひとは、とんでもない魔法を使う魔女だったのです── 「……鏡よ鏡……面倒くさいからこの話終わらせても良い……?」 ──こうして白雪姫は末長く幸せに暮らしましたとさ。 「って違ーう!」 「主役張る気がさらさらないな椎名……。せっかく出番を大量に用意して、志乃ちゃんとの絡みを増やしてやろうとしてるのに……」 「ヒロインが登場する前に話を終わらせてどうするんだ……。かんな、やっぱりフォローが必要なんじゃないか?」 「……仕方ないわ。椎名先生と志乃ちゃんががっつり絡めるように、全力でさりげなくフォローすること。みんな良いわね?」 「どうしてそこで俺を見るんですか相澤先輩」 「それはひーくんがカッコ良いからよ!」 「意味不明なフォローは要らんぞこのクルクルパー!」 「ああお前は前に出るなよ北条。お前が出たら話がややこしくなる」 「わかりました紫サンの傍から離れません」 「違う! 早速話をややこしくするな!」 「さあさ。みんなイチャイチャしてないで、行動開始するわよ」 (……その一言でまとめて良いのか……?) 継母椎名が鏡に背を向けようとしたところ、視界の端の変化に気がつきました。ただ自分を映しているはずの鏡の中に、なにか文字が浮かんでいます。 自然界の摂理を無視した現象に心を動かされた継母椎名は、改めて鏡に近寄ると、そこに浮かんだ文字を読んでみました。 「『鏡よ鏡……小出高校の中で一番、微生物を愛してやまないのは誰?』……そんなの俺に決まってるでしょ……?」 眉を顰めた継母椎名、しかしそれをあざ笑うかのように、鏡の中の文字はその姿を変えました。 「……『いいえ、それは白雪志乃姫です』……!?」 その名前に首を傾げた継母椎名は、やがてハタと気づきました。そう、それは新しい継娘の名前ではありませんか……! 「……微生物を一番愛してるのは、俺だ……」 継母椎名は、白雪志乃姫を城から追放してしまいました。 |