![]() | ありがとうの日 |
「あい、どーじょママ」 「まあ、なのちゃん。このお花ママに?」 「うん。きょうは、ははにょひ。なんだってー。だかりゃ、おねーたんとおにーたんたちといっちょにかいにいったのー」 「ありがとう、なのちゃん。お姉ちゃん、お兄ちゃん達もありがとう」 あの時渡した花束はおっきい花束では無かったけれど、満面の笑みで喜んでくれたママ いつでも笑顔を絶やさない優しいママ 何年たってもその笑顔は変わらず、あたし達を優しく見守ってくれている ありがとうの日 「ねー、蒼お兄ちゃんと奏お兄ちゃん。手を繋ぐの止めて欲しいんだけど」 「なの、何を言っているんだ。お兄ちゃんと外を歩く時は手を繋ぐのが当たり前だろうが」 「そーだよ、なの姫。外は危険でいっぱいだからね」 「もうあたし高校生だから」 「いくつとか関係ない。おじいちゃん、おばあちゃんになっても手を繋いで歩くんだからな」 「またバカな事を言って」 「1人だけ手を繋げなくて拗ねてるのかな〜?悠」 「……」 「って、無視!?」 あたし達の少し前を呆れた顔して歩く、悠お兄ちゃん と、とある店の前で立ち止まり振り返った 「誰が呼んだんですか?」 「え〜?誰を〜?」 「あー、翠お姉ちゃん」 「きゃー、なのちゃん」 「なんで、翠がいるんだ」 「来てくれてありがとう、翠お姉ちゃん」 「犯人はなのか…」 お兄ちゃん2人を退けて、あたしに抱きつく翠お姉ちゃん 「もー、今日の日の事、なのちゃんが教えてくれなかったら知らないままだったのよ」 「別にいいだろう、翠は嫁に行ったんだから」 「そうだよ〜。滉ちゃんとこはいいわけ?」 「真壁家にはちゃんとぬかりなく贈ったから大丈夫よ」 「相変わらずちゃんとツボは押さえているんですね」 「あったりまえじゃなーい。これでもあの真壁家の嫁よ?完璧よ♪」 いつでも堂々としていて、真が強くて自分をしっかり持っている翠お姉ちゃんはいつ見てもカッコいい きっと綺麗でカッコいい自慢のママになるんだろうな 「どうかした?なのちゃん」 「ううん。翠お姉ちゃんに会えて嬉しくて」 「ちょっとー、みんな聞いた?なのちゃん、私が大好きですって」 「そんな事一言も言ってませんよ」 「そうだ!なのが大好きなのはこの蒼お兄ちゃんだけだ」 「え〜、奏だけだよ〜」 また大人げないケンカが始まりそうだったので、あたしは先に目的の店に入った 「いらっしゃいませ〜」 「うわぁ、色んなお花が沢山あるー」 「どの花にしようか?」 「悠お兄ちゃん。あれ?みんなは?」 「外で不毛な戦いしてるよ」 「あー、もう困っちゃうね」 外を見ると確かに3人が言い争いをしているのが見えた あたしは他人の振りをして、店にあるお花に目を戻した 「今日はどんなお花をお探しですか?」 「あっ、母の日のです」 「だったらカーネーションがいいですかね?それとも何かご希望がありましたらおっしゃって下さいね」 そう言い残し、店員さんは呼ばれて違う人の所へ行ってしまった 「なのは何か希望あるの?」 「カーネーションも入れたいし、あと向日葵でしょ。ガーベラもいいし、あとはかすみ草」「全く統一性がないね」 「えー、ダメかな?」 「いいんじゃないかしら」 「翠お姉ちゃん」 いつの間にか店内に入って来た翠お姉ちゃんとお兄ちゃん2人 「なのが贈りたいって花をあげたら母さんも喜ぶだろ」 「そうだね♪なの姫らしくっていいじゃん」 「誰もダメとは言ってませんよ」 「じゃあ、好きなお花全種類買うー。すいませーん」 あたしは店員さんを呼び、好きなお花全種類を花束にしてもらった 「ママ、喜んでくれるかな?」 「喜ぶに決まってるわよ。なのちゃんが選んだお花なんだから」 「かなり個性的な花束ですけどね」 「あっ、蒼ちゃん。ケーキは準備オーケー?」 「俺を誰だと思ってるんだ?完璧に仕上げてある」 「私も滉くんのホテルの料理を用意したし」 「僕が用意した映画の招待券で朝から父と映画を観に行きましたし」 「その後は俺が予約した極上エステを体験したみたいだし〜」 「後はお家でパパとママの帰りを待つだけだね」 そう、今日の母の日の為にみんなで準備をしていた 「朝からママ、パパとデートだって張り切ってたね」 「いやー、父さんもかなり浮かれていたけどな」 「相変わらずラブラブだよね〜」 「そうね〜。まっ、私と滉くんも負けてはないけどね」 「はいはい」 笑顔を絶やさないママがみんな大好き あたしもママが大好き いつかママのような母親になれたらいいなと思う ママが帰って来たら、とびっきりの笑顔で伝えたい 「いつもありがとう、ママ」って ありがとうを言えるこの日に 感謝の気持ちを込めて fin |