部活は全力で





俺は小出高校弓道部・部長の柿原郁だ



我が校の弓道部は伝統はあるものの、弱くはなが強くもないといった位置にいた
しかし、毎年インターハイ目標に地道に頑張っている

そして俺が入部し、このままではいつまでたってもインターハイに行けないと悟り、部員達と必死に努力を重ねて一気にレベルを上げた


去年は苦しくもインターハイ目前にして敗退したが、今年はインターハイに行ける気がしてならない

なぜなら中学時代から弓道界で名を馳せていた期待の新人、下野聖が我が校に入学したからだっ!


でかした、下野聖!
絶対に今年はインターハイに行くぞ!
行くぞー!!




部活は力で




今日も張り切って部活に精をだそうじゃないか
って、なんだコレは…
弓道部に女子が群がっているではないか

「あっ、柿原部長ー!助けて下さいっすー」
「寺嶋、なんだこれは。なんの騒ぎだ」
「かわいこちゃんみんな弓道部に入部したいそうっすよ」
「このかわいこちゃん達みんなか?!」
「はい」



女子好きな寺嶋さえ困惑している群がり方だ
ざっと数えただけでも40人位はいるんじゃないか?
弓道ブーム到来なのか?!



「柿原くん、みんな新人の下野くん目当てよ」
「星良、本当か?そんなふしだらな入部動機は許さん」
「ふしだらって、柿原くん…。私達だって付き合ってるじゃない」
「そうすっよ〜」
「とにかく神聖な弓道に不純な動機はいらん」
「あっ、柿原くん待って」
「部長〜」



今年が最後のインターハイなんだ
部活に全勢力を注がないヤツはいらん



「静かにしろ!部長の柿原郁だ。弓道経験者と純粋に弓道をしたい者はこちらに並んでくれ。そして、下野目当ての女子は即刻立ち去れ!」



口々に文句を言いだす女子達
知ったことか
俺は腕を組み睨みを利かせていた




「あの、静かにして下さいね。副部長の花澤星良です。皆、言いたい事はあるかと思いますが、我が弓道部はインターハイ出場を真剣に狙っています。したがって練習もハードです。弓道をしたいという気持ちがない方は申し訳ありませんが入部させる訳にはいきません」


そう言って頭を下げる、星良



「そんな奴らに頭を下げるな、星良」
「頭を下げたのには理由があるからよ」
「理由?」
「今から言わせて頂くから」
「は?」



騒ぐ女子達に向き直り、強い眼差しで話し出した



「先程も言いましたが、練習がハードな上に皆、真剣です。そんな浮ついた気持ちで入部されると迷惑です。はっきり言って練習の邪魔です。インターハイを目指す気持ちがない人もいりません。では、分かって頂けた方からお帰りになってください」



ドアを指差しはっきりとした口調で促した
大人しくぞろぞろと弓道部から去って行く女子達



「副部長カッコいいっす」
「ふん、言うじゃないか星良。それでこそ俺が惚れた女だ」
「これで静かになったわね」
「結局残った新入生は8人か。下野を入れて9人。まあ無難ってとこか」
「あのー、部長。この騒ぎの張本人の下野はここに居ないんすか?」


寺嶋が聞きにくそうに尋ねてきた



「下野は入学式の時にすでに入部済みだ。次のオリエンテーションの時に来るよう伝えてある」
「入学式の時にですか…」
「俺と星良で確保しに行ったぞ。わが部の期待の星だからな!」
「そうそう、万が一って事もあるからね。逃がさない為にも」
「…そうっすね」
(この2人やっぱ最強だ)




と、その時、部室のドアが盛大に開いた



「すいませーん!1年C組、吉野なの。弓道部に入部希望ですっ」



この女子が俺達弓道部と下野の運命を変えるなどと、その時はまだ誰も知る由もなかった

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