それはつまり愛なのよ







放課後、部活に向かう途中廊下で宮本先輩に声を掛けられた




「下野、今から暇か?」
「部活に行く途中でしたが、急ぎの用事ですか?」
「ああ。今じゃなきゃ駄目だ」
「分かりました」
「じゃあちょっと俺に付き合え」
「はい」



俺が最も尊敬する宮本先輩の誘いを断るはずもなく、何処に連れて行かれるのかと疑う事もせず…
着いて行ったのが間違いだった



宮本先輩に連れて行かれた場所は…文芸部だった…

なぜに?



「宮本先輩、お尋ねしますがここ文芸部で間違いはないですよね?」
「ああ」
「なぜここなんですか?」
「ここに用事があるからだ」
「まさかまた吉野が相澤先輩に何かしましたか?」
「どうだかな」



意味深な笑顔を浮かべて扉を開けた宮本先輩

その瞬間、紙吹雪きが舞ってきた



『お誕生日おめでとうー!!!』


紙吹雪まみれの俺が見たのは、文芸部の面々と宮本先輩、椎名先生が揃ってそこにいた



「ひーくん?感動する余り言葉が出ないとか?」


…吉野のやつ、やっぱりみんなに言いやがったな


「みんな忙しいのにひーくんをお祝いしたいからって集まってくれたんだよ?ほら、お礼言わなくちゃ」
「皆様ありがとうございます。祝ってくださって…」


状況がよく分からないままお礼を述べた


「じゃあ、すまないが一言祝いの言葉を述べて俺は失礼するな」
「宮本先輩、受験でお忙しい中ありがとうございました」
「いや、いいんだ。可愛い後輩下野の誕生日なんだ。祝わなきゃ駄目だろう」
「俺、本気で嬉しいです」
(また目をキラキラさせてる。本当に可愛い乙女め)



「かんなセンパーイ。ひーくんと宮本センパイがイチャイチャしてますぅー」
「あらあら」
「私達も負けずにイチャイチャしましょう?」
「ふふ。なのちゃん、後ろ」
「え?」

ーガンッ

「いったーいっっ!」



なのが聖の拳骨に悶絶している間に、浩輝とかんなは部屋を出て行った



「アタシスゴい事に気づいたよ、下野くん」
「何がですか?佐伯先輩、って、はあっ…ん。…椎名先生何してるんですか!?」
「………首筋の反応が…抜群にいいね……」
「ちょっと触るの止めて下さい。止めて下さいよ、佐伯先輩」
「椎名先生、また今度にしよ?」
「…今度?」
「うん、今度じっくりと…ね?」
「…うん」
「ちょっと何言ってるんですか。椎名先生楽しそうじゃないですか!ってスルーして行かないで下さい」
「期待して待っててね、乙女くん」
「ちょっと、乙女くんって何なんですか!?」



愉しげな椎名の後に続き、志乃も出て行った




「五時間目なのとサボったらしいな?しかも、下野がなのを離さなかったそうじゃないか」
「…鷹月先輩、それは誰情報ですか?」
「そんなの決まってるじゃないか。この2人からだ」
「屋上で2人きりなんて…。下野見かけによらず大胆ですよねーって、紫サンに話しただけだよ」
「ひーくんに一緒にいろって命令されちゃいましたって言っただけだもん」
「だからおまえらは!」
「なんだ?この2人が嘘をついてると言いたいのか?」
「…いえ、嘘は言ってません」
「そろそろ腹を括るんだな。乙女な下野よ」
「……だから鷹月先輩まで何言ってるんですかって、乙女って何ですか!乙女って!」
「あーもう、下野ムカつく」
「は!?北条なんで!?」
「紫サンと仲良く話さないでくれる?」
「はぁ?」
「紫サン、行きましょう。僕と2人きりで仲良くしましょう」
「ほ、北条、離せ!こらっ」


大海は紫を軽々と姫抱きして部屋を出て行った




「みんな何なんだ…。しかも俺の事を乙女呼ばわりして」
「あたし大丈夫!ひーくんが乙女でも全然大丈夫♪むしろ大歓迎」
「……(絶句)」





それはつまりなのよ




(みんなに愛されて幸せ者だね、ひーくん)
(…まあな)
(照れちゃって〜)
(煩い)
(素直じゃないんだから、ひーくんは)
(黙らせるぞ)
(キスするって事?どうぞお好きに召し上がれ♪)
(ばっ、バカかお前は!!んな事一言も言ってない!破廉恥な事を言うなー!!!)





Happy Birthday 聖


fin


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