激録!バレンタイン



 


 【吉野家兄×3】



「奏」
「何、蒼ちゃん」
「極秘ミッションだ。……なのを見張れ」
「イェッサー。不審な行動は要チェック、キーワードは……『チョコ』『ショッピング』『下野聖』で間違いない?」
「ああ。何も言わなくてもすべて理解してくれている……さすがだ弟よ」
「だってなの姫愛してるからね」
「そうだ! 故に最愛の妹に集る害虫(=下野聖)に、餌(=チョコ)をやることまかりならん。断固阻止するぞ!」
「イェッサー!」
「……そんなことしてたら自分たちもチョコ貰えなくなりますよ?」
「「それは困る!!」」
「なのに嫌われたくないなら、もっとスマートに妨害したらどうですか」
「じゃあ悠。お前ならどうする?」
「……は?」
「そんなに言うんなら、自信あるんだよね。悠くん?」
「僕を巻き込まないでください。愛が暴走している兄さんたちと組んだらお終いな気がします」
「そんなこと言って悠くん……なのからのチョコを独り占めする気だね!?」
「……どうしてそうなるんですか」
「いかーん! 断固阻止するぞ悠!」
「目的と手段が入れ替わってます! 下野聖はどうするんですか!?」
「「ああ!」」
「ああ、じゃないでしょう」
「危ない……危うく流されるところだった……」
「恐るべし、下野聖……」
「……(もう何も言うまい)……」






 【なの&翠&滉】



「なのちゃん、なのちゅわーん
「翠お姉ちゃん、全力で抱きつかないで、苦しいよ」
「あのね、私スッゴい極秘情報を手に入れたのよ!」
「なあに?その極秘情報って(…人の話聞いてないんだから)」
「あっくんが調べて分かったんだけど、バレンタインの2月14日がひーくんの誕生日だったのよ」
「ええー!!バレンタインがひーくんの誕生日ー!!乙女ー!!きゃあぁぁぁぁぁ」
「おい!発狂してないで俺に礼を言え」
「バレンタインチョコとひーくんの誕生日プレゼント何にしよー♪翠お姉ちゃんありがとうー」
「やーん♪いいのよ、なのちゃん。頑張ってね!」
「うん、あたし頑張るー!」
「だから俺様に礼を言えー!!(こいつら姉妹揃って人の話を聞かねえ)」






 【なの&聖&大海】

――エスケープ後、廊下にて

「なあ、吉野」
「なあに?」
「今日が俺の誕生日って誰にも言ってないよな?」
「……」
「おい、なぜ黙る」
「い、い、い、い、言ってない!大好きな先輩達や宮本センパイ、椎名先生ましてや北条くんにも言ってないからー」
「言ったな?それ絶対言っただろ」
「あたしには分かりませーん」
「あっ、逃げるな、吉野!」
「きゃー♪ひーくんが熱烈に追いかけ来るー!あっ、北条くん助けてー」
「うわぁ、5時間目サボったラブラブカップルの登場だ〜」
「そうなのー、北条くん。ひーくんがあたしを離してくれなくって」
「やるなあ、下野」
「おまえら揃って ふ ざ け る な!」
「だってサボったの事実じゃん」
「事実だもん
「くっ…」
(血迷ったな、自分…。不覚)






 【1−A男子高校生】



「あ、下野下野。誕生日オメデトウ」
「あ……ああ。ありがとう」
「何? お前今日が誕生日なのか?」
「…………。そうだが」
「お前……今日が何の日か知ってるのか?」
「……だから俺の誕生日だ」
「「ちっがーう!!」」
「何が!?」
「今日は二月十四日だろう!? 即ちバレンタインだろう!」
「何世の中の乙女の祭典の日に生を受けてんだお前は!?」
「知らん! そもそも俺には関係ないし、誕生日を選んで生まれてきた訳でもない!!」
「中上、松嶋、これは必然なんだよ。だって今日という日ほど、乙女な下野にぴったりな日はないでしょ?」
「「ああー……」」
「ひ……っ、人を乙女扱いするな北条! 中上も松嶋も同意するな!!」
「そうカリカリしないで。はい、誕生日プレゼント」
「あ……りがと……って」
「……北条……それ誰かからもらったバレンタインチョコじゃないのか……?」
「失礼極まりないなお前は!」
「えー。だって僕が貰ったものなんだから、好きにしてもいいじゃん」
「だったらオレにくれ!」
「いやむしろ俺にくれ!」
「欲しがるな! 返す!」
「あーあ。せっかくのプレゼントなのになあ……」
「北条お前……本命以外の扱いが非道すぎるな……」






 【浩輝&聖】



「大盛況だな、下野」
「え?あっ、宮本先輩」
「本命らしきチョコをこんなに沢山受け取ったのか?吉野、キレなかったか?」
「あー…いや…」
「なんだ?歯切れが悪いな」
「今回は完全に自分に非があるので何も言えません」
「素直に非を認めるのか。偉いぞ下野」
「宮本先輩は随分身軽ですね。小出一モテる人なのに」
「俺か?」
「はい。毎年、相澤先輩以外からのチョコはどうしてるんですか?断って諦めてくれるものですか?」
「下野、ちゃんと策を練れば何も困る事は無いのだぞ」
「策?」

(下野に耳打ち中)

「さすが、宮本先輩です!俺、感動しました」
「何事も先手を打つのが大事だぞ。分かるか?下野」
「はい!」


(目をキラキラさせて、かわいい奴め。さすが乙女な下野だ)






 【紫×大海】



「ずいぶんたくさん貰ったんだな」
「紫サン……妬けますか?」
「相手の女の子だって頑張って用意したんだから、受け取ってあげなきゃ可哀想だろう?」
「……絶対僕よりフェミニストですよね、紫サンって……」
「……で、いくつ貰ったんだ?」
「気になりますか?」
「…………そりゃまあ」
「やっぱり、妬けますか?」
「………………別に」
「素直にヤキモチ妬いたって言えば良いのに……」
「妬いてない!」
「紫サン……矛盾してますよ?」
「妬かないし、妬いてないし、お前にあげたチョコ返せ!」
「駄目です。もうお腹の中だから」
「返せったら返せ……んっ!」
「僕が今返せるのはこれだけですよ」
「お、前……なあっ!!」
「あ痛っ! 紫サン、わき腹は痛いです!」
「知るかっ!」






Happy happy valentine♪



 
日常 かんな 志乃 なの 紫1 
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