学園祭 最終日 大正浪漫・デリバリー志乃



ここの所ずっと校内が騒がしかった…
なんか学園祭というものが行われていたらしい


そして今日はその最終日らしい…
興味ないけど



でも昨日見たレトロな着物姿の彼女は可愛かった
また見たい…


そんな事を考えていると、部屋のドアがノックされると同時にドアが開いた…

…………きっと、あの変な生き物の子だ



「椎名先生〜、ご注文をお届けに参りました〜!」
「ちょっとなのちゃん!アタシは商品じゃないから」
「さっ、椎名先生どうぞ〜、どうぞ〜」
「…どうも」
「はい、受け取り完了!あたしは戻りまーす」



バタバタと全力疾走して行った
この間、30秒位だろうか?
…相変わらず騒がしい子



彼女を見ると、後輩にいきなり連れてこられた上に部屋に放り込まれてどうしていいか分からないのか、ぎこちない様子で佇んでいる




「ねえ…デリバリーされてるの?俺…注文した…?」
「したんじゃないんですか?アタシにも分かりません。もう…なのちゃんったら(絶対、かんなちゃんと紫ちゃんの差し金だわ)」
「会いたかったし、丁度良かった…」
「え?」


少し驚いた後に小さな声で「アタシもです」と呟く彼女はまた可愛らしい



「今日もレトロな着物着てるね…」
「はい、結構気に入ってたりします。今日で着るのも終わりで、ちょっと残念ですけど…」



確かに本人が気に入るのも分かる位、良く似合っている
そして、細く綺麗な首筋も着物に良く映えている



「首が綺麗…。よく見せて?」
「え…?」


俺は首筋に掛かっている髪を手で掬い上げた
すると彼女の顔が見る見る内に紅くなっていった



「顔が紅い…」


俺は冷たい指先を彼女の首筋に当てた


「ひゃあ!し、椎名先生、いきなり何するんですか!」
「冷たいでしょ?」
「冷たいですけど…、なぜですか?」
「首筋の頚動脈の部分を冷やすと、脳に運ばれる血液の温度を下げて脳内温度の上昇を抑える事が出来るから…」
「出来るから何ですか!?」
「顔が紅いからそうしたほうが、いいと思って…」


「いいと思ってじゃないですから」と更に顔を紅くして抗議する彼女がやっぱり可愛くて、もっと触れてみたくなった…


俺はそのまま彼女の首筋を指で触れたまま話かける



「この左右両側にある総頚動脈はともに…気管、食道の外側を垂直に上行して…甲状軟骨…上縁の高さで、外頚動脈が。外頚動脈と内頚動脈の後ろには迷走神経が通る……」


人差し指を首筋から鎖骨へと滑らせていく


「そして鎖骨下動脈は胸部の上部を走行する比較的大きな動脈…主に頭や腕を栄養にしている……」
「あー、もう難し過ぎて何言ってるのか分かりません」
「じゃあ、アンタの身体を使ってゆっくり教えてあげるよ…」



俺は鎖骨(気持ちは鎖骨下動脈)にキスを落とした…




学園祭 最終日
大正浪漫デリバリー・志乃




(このまま自宅にテイクアウトしたい…)
(だからアタシは商品じゃありません)
(ずっと一緒にいたいからなのに…)
(赤面)
(アンタの身体に教えてあげないといけないのに…)
(超赤面)





fin
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