体育祭 仁義なき戦い 二人三脚編 −下−







一年生全員が好スタートを切った

その中でもA組とC組がリードし始める



「パ〜ン♪パ〜ン♪!パ〜ン♪」
「吉野ちゃん、変わった掛け声だね〜」
「羽田野くん、もっと勢いつけて行くよ?パンが待ってるからー!」
「はいよ♪一位になったらご褒美頂戴ね〜」




体育祭
仁義なき戦い 二人三脚編−下−




「森下さん、このペースで行けば絶対大丈夫だよ」
「…うん」
「もう少しでパンを取る所に辿り着くから」



『おーっと、C組のペースが上がりました!それに続くのはA組』



「パーンッッ!!」
「ご褒美〜」


『A組、絶妙なコンビネーションでパンをゲットしましたー』



「さすがなのっちだな。食べ物に関しての執着力はハンパないな」
「見事だわ」
「パンをくわえた吉野…、スッゴく幸せそうですね。それに比べて僕のクラスのA組はちょっと戸惑ってるみたいですね」
「まあ、口でくわえてパンを取るのは確かに恥ずかしいな」
「躊躇しないなのちゃんがスゴいと思うわ」
「しかし、下野は眉間の皺が尋常じゃないな」
「気にならないとか言いながら、見ちゃってますしね」



『C組以外はパンを取るのに戸惑ってる様子です』



「中上くん!早くパンゲットしてよ!」
「あっ、ちょっと待って」
「もー、焦れったい!取れた?行くよ、ついて来て!」
「はい、すみませーん」
(森下さん、イメージと違ーう。泣)


『A組も無事にゲットしたもよう。でもC組が……ゴール!ぶっちぎりのトップでゴールしました』


「一位〜!」
「吉野ちゃん、やったね♪イエーイ」



なんだあれは…
仲良くハイタッチなどするな
結局、俺は吉野の二人三脚を見てしまった
いい気分にならないのは分かっていたはずなのに



「吉野ちゃん、約束通りご褒美頂戴〜」
「志乃センパーイ!堺センパーイ!ファイトでーす!」
「無視しないでよ〜」



『続きまして二年の二人三脚を始めます。A組…』

「あっ、吉野さんが手を振って応援してくれてる。頑張らないといけないね」
「なのちゃんが教えてくれた掛け声なら行ける気がして来たね、堺くん」
「うん」



志乃達二年生がスタートラインに並び終わると、ピストルの音が鳴り響いた


「佐伯さん、せーの」
「パ〜ン、パ〜ン、パ〜ン」
「パ〜ン、パ〜ン、パ〜ン」
「いい感じだよね、堺くん」
「驚く程、上手く行くね。この掛け声」



「お?志乃ちゃんと堺くん、いい感じじゃないか」
「僕が前に見た時は一歩も前に進めてなかったのに…」
「ふふ。パンも上手い事取れたみたいね」
「これはもしかしたら、もしかするかもな」



『二年のトップを走るのはE組です。ミスも無く順調な走りを続けています』



「行けー!志乃ちゃーん!」
「あと少しよー!」
「頑張って下さい!」



『ゴール!E組そのまま逃げ切りましたー!一位はE組です』



「やったね、堺くん!」
「うん、うん…僕…一位なんて初めてかもしれない…」
「やだ…、泣かないでよ…」



そんな二人の走りを影から見ていた人がいた
彼女の勝利への嬉しさと隣にいる男性への嫉妬となる感情を感じながら白衣のその彼は校舎へと消えた




「きゃー!志乃センパイ一位だ!お祝いのハグをしに行かなきゃ〜」
「はい、ちょっと待って〜」
「え?羽田野くん」
「吉野ちゃんに一位のご褒美貰わなくっちゃ♪こっち来て」
「やだ、離してよー」
「だ〜め♪」



ん?なんだ?
吉野の様子がおかしい…っていうか羽田野に連れて行かれてるじゃねーか




「どこ行くのー?グラウンドに戻らないといけないよ?」
「人気のない場所にわざわざ連れて来てるって分からないかな?」
「ねー、それと肩に置いてある手をどけて?」
「やっだよ〜♪吉野ちゃんと離れたくないし〜。もっともっと近づきたいし〜」



「気安くそいつに触るな!」


人気のない中庭に凛とした声が響いた


「は?」
「その手をどけろ」
「ひーくんっっ!」
「君さ〜、下野くんだっけ?吉野ちゃんの彼氏でもないのに何言ってんの?」
「確かに彼氏ではない。だが、残念だったな。こいつは俺に夢中だ。俺以外に触られて喜ぶはずかない。だろ?吉野」
「うん!(ひーくん超絶カッコいい)」
「さあ、行くぞ。一位になったご褒美くれてやる」
「やったぁ!ひーくんのご褒美ー!キャー!」


羽田野から離れ俺に一直線に向かって来た吉野を受けとめる



「はあ?なんだソレ…。ちょっと…、待てっ…て……」



俺は気にせず吉野を連れて中庭からグラウンドに歩みを進めた



「くそっ。俺、絶対吉野ちゃんの事あきらめないからなー!」



「なんか言ってるよ?」
「言わせておけ。ただの戯言だ」
「ひーくんのご褒美なんだろー♪はぁん♪」
「期待するな、クルクルパーが」




自分の気持ちに素直になるのもそう悪くないと思った



fin
日常 かんな 志乃 なの 紫1 
小出高校 top
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -