小出高校の男子高校生の日常4



 


 今日も中上と松嶋が、バカな話題で盛り上がっている。
 ……もう好きにしろ。だから頼むからそれを俺の机の脇で始めるな。
 俺を巻き込むな、頼むから。



「いやだからやっぱり年上のおねーさまの方が良くね?」
「でも絶対的ツンツンな娘がデレた時のあのギャップも捨てがたいよなー。実際どうよ北条、鷹月先輩のデレっぷりは」
「内緒」
「う……その顔がすべてを物語っている……」
「やっぱツンデレ最高!」
「……言っとくけど、可愛い紫サンを見せるつもりはないからね。紫サンの全部は僕のなんだから」
「そんなこと言って北条」



 中上がいきなり二トーンくらい声のボリュームを落とす。普段の奴なら有り得ない。嫌な予感。眉間の皺が増えるのが自分でもわかる。






「……お前、もう鷹月先輩と(ピーッ)したの?」






 ――俺は問答無用で中上の頭を殴りつけた。






「いってー。何で下野が殴るんだよ!?」
「白昼堂々、は、は……破廉恥な話題を振るなっ!」
「下野。噛みすぎ」

 苦笑混じりの北条のツッコミは無視をする。

「そもそも! そんな話のネタにするなんて、コイツは兎も角先輩に失礼だろうが!?」
「えー。だって気になんじゃん。なー、どうなんだよ北条」
「真面目に聞かれたら真面目に答えるけど、茶化しには茶化しで返すよ僕は。だからご想像にお任せします」
「ちくしょー……リア充爆発しろ!」

 あっさり切り返す北条はさすがだ。中上が苦虫を噛み潰したような顔をした。
 だが、これで話が終わるかと思いきや。



「……あー、どこかの素敵なおねーさまに、あんなこととかこんなこととか、手取り足取り至れり尽くせりで教えてもらいたいー」
「やっぱ良いなソレ!」



 ……むしろお前らが爆発しろ。



「現実的に彼女作りなよ、二人とも。そんで彼女に何でも教えたり教えてもらったり、(ピーッ)すれば良いじゃないか」

 北条の言葉は常に真っ当だが、それを聞くようなバカ二人なら苦労はしない。

「妄想は別物だ!」
「そうだ別腹だ!」
「……変態どもが」



 俺がボソッと呟くと、中上と松嶋が即座に噛みついた。






「変態で何が悪い!」
「知ってるか下野、『変態』とは『変態性欲』の略なんだぞ!? つまりオレたちは、性欲を持った健全な男だと言うことだ!」
「草食系男子、なんて巷ではもてはやされているが、そんなのが増殖するから日本の人口が減少傾向にあるんだ!」
「僕は肉食系だけどねー」
「そうだ! 女に興味を抱かないなんて男じゃない! 子孫を残そうとする男の本能を持たない、生物として劣った輩だ!」
「俺たちみたいながっついた変態こそ、本来有るべき生物としての姿なんだ!」
「そーだそーだ!」



 まくし立てる二人にまたしても気圧される。言っていることは支離滅裂でどこかおかしい。だが否定できない。違うと、言い切れない。
 笑顔の北条が混乱する俺にトドメを刺した。






「つまり、結論を言えば、男が変態じゃなきゃ人は子孫を残せない、ってことなんだよ」



 拍手する中上と松嶋。



「……そう、なのか?」



 うんうん。頷く中上と松嶋。



「だから下野も素直に『吉野が好きだ』って叫べば良いんだよ?」






「っだれが叫ぶかー!」






小出高校の
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(いい加減素直になればいいのに……)
(ならん!)
(本当に意地っ張りだなあ……)


 
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