小出高校の男子高校生の日常2



 


 男子高校生っていう生き物は、『そういう話題』が気になって仕方ないお年頃。
 まあかく言う僕も気にはなる。別に聖人君子を気取ろうってつもりはさらさらないんだから――






「……んで、昨日部活後にみんなで盛り上がったワケよ」
「オレは断然、パジャマだなー。飾らない姿が堪んない!」
「普通にセクシーな下着姿が良い! そんな姿で待たれてたら……もう絶対、いただきます。だよな下野?」
「俺に同意を求めるな!」



 中上&松嶋のサッカー部コンビが盛り上がってるのは、どうも……

『ベッドで待っている彼女が、どんな姿でいるのが嬉しいか』

 と言うネタらしい。
 潔癖乙女思考な下野が激怒している。別に良いじゃん、と僕は思うんだけど。



 中上と松嶋は仮想彼女をベッドに入れて、ああだこうだと論議している。
 僕のベッドで待っているのはもちろん、大好きな彼女の紫サン。どんな格好してても、男として最終的には脱がせたいんだけど、強いて言うなら――



「なあ、北条はどんなのが好み?」
「僕? 僕は……どうせなら僕のシャツを着せたいなあ」

 ポロッと願望を漏らすと、中上と松嶋が激しく同意した。

「あーわかる!」
「男モノの服ダボッと着た女の子はサイコーだよな!」
「北条! お前も参加するな!」



 ――下野のクレームはいつものことなので、まるっと無視してみた。



「で、ズボンは無しね」
「サイコー! ナマ足サイコー!」
「下着は有りですか無しですか!?」
「上は要らない。下だけで」
「「ああ〜っ!!」」
「煩いぞお前ら!」



 噛みつくんならどこか行けばいいのに。僕は笑った。行かずに律儀にツッコミ続ける下野は、本当は――






「そんなこと言って、下野も興味あるよね?」
「無いっ!」
「……それ逆に、健全な高校生男子としてどうかと思うんだけど。ねえ?」

 横の二人に問いかけると、中上も松嶋も激しく同意した。

「そうだぞ下野!」
「さあお前も答えろ! どんなのが好みだ!?」
「ネグリジェか? ベビードールか? コスプレか? それともいっそ真っ裸か」



 異様な勢いで詰め寄る二人に、珍しく気圧される下野。……あ、面白い場面に出くわした。



「僕ベビードールも好きだなあ」
「ああ! あの透け感は堪らんな!」
「さあ下野、想像するんだ! ベッドに横たわる女の子を! そして豊満な裸体が透ける下着を!!」
「お・ま・え・ら・なあ〜!!」










「盛り上がってるねー。何の話してるの?」






 突如、会話に参加してきた相手の顔を見て、



   ブーッ!

 鼻血を吹いて倒れた下野と。



「ちょっ、ちょっとひーくん!?」

 慌てて彼に駆け寄る吉野と。



「アレ絶対妄想したよな……」
「したな……だって吉野だもんな……」
「一瞬だったな……」

 ヒソヒソ言い交わすサッカー部コンビを見ながら僕は笑った。






小出高校の
子高校生の
日常 



 下野……素直になった方が身のためだよ?


 
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