はじめての恋 @ 〜 覚醒 〜



恋ってどんなだろう?


物語の中だけでしか知らない…

あたしは、まだ知らない



春、4月−



念願だった小出高校に受かり、今日はその入学式


「じゃあ、なの姫。なるべく変顔しておくように!」
「奏お兄ちゃんひどい!」
「いーのっ!なの姫はそのままでいると、みんななの姫に惚れちゃうから。」
「ぷっ。相変わらずですね、奏お兄さん。」
「つぐみちゃんも今日も可愛いね〜♪」
「はい、ありがとうです。」
「サラッと流すとは、さすがなの姫の親友。あっ、つぐみちゃん、くれぐれもなの姫の事宜しくね〜♪」
「はい、了解です!」


車に乗り込むまで心配そうに何度もこちらを振り返ってた
高校生になっても相変わらずの過保護っぷり…


「今日の入学式、倒れないといいな〜。」
「なのは弱いからね。でも椅子じゃない?入学式だし。」
「あー、緊張する…。」
「入学式が?」
「倒れないかどうかで。」
「そっちで!?」


幼稚園の頃からの親友のつぐみちゃん
高校も同じになれたし、クラスも同じ、行きたかった高校にも入れて本当に順風満帆
これで恋なんて出来たら最高なんだけどな…




「おいっ、あの2人見てみろよ。」
「うわー、2人ともスッゲー可愛いじゃん。」
「特にあのクルクルした髪の毛の子、抜群じゃね?」
「同じクラスになれないかな〜。」
「そう思わない?聖。」
「全く興味がない!」
「でた〜、聖の女嫌い。」
「お前って本当モテるのに、勿体ないよな。」
「俺は高校に勉学と弓道をやる為に来たんだ。恋愛なんかに興味はない。」
「堅物だな〜。」
「でもさ?もしかしたら出会っちゃうかもよ?」
「誰にだ?」
「堅物くんを変える、運命の相手に!」
「くだらない。式が始まる、行くぞ。」




私はつぐみちゃんと共に体育館へと移動した
その人混みの中で光り輝く何かを見つけた

え?なにあれ…、人?


!!!!!!!!!!!


その彼を見た瞬間に身体中に電流が走った

今まで感じた事がない感覚
これは……何……?


それから式の間も、その彼から目が離せなくて…
ずっと、ずーうっと見ていた

怪訝そうに、何度かその彼がこちらを見てきた
その度に胸が苦しくて苦しくて心臓が止まりそうで…
あたし…、どうしたんだろ?
何かの病気…?



「ちょっとなの…。どーしたの?具合悪い?」


心配して、話し掛けて来たつぐみちゃんの声も耳に入らなくて
もうその彼しか見えてなかった



「…なあ、あのスッゲー可愛い子、聖を見てんじゃねぇ?」
「いい迷惑だ。」
「俺なら嬉しいけど?あんな可愛い子に見られたら。」
「だったらお前が相手をすればいいだろう。」
「後で名前聞いてこよーっと。」
「ふん。」




式が終わり、自分のクラスに向かわないといけないのに、足は吸い込まれるように彼へと向かっていた


「ちょっとなのっ?そっちは1−Aだよ!なのはC!って、聞こえてないし。どうしちゃったの?あの子…。」



あの彼を追いかけて、フラフラと辿り着いた先は1−Aだった


彼はどこ?



「あっ、あの聖を見てた可愛い子じゃん。ねーねー、名前はなんて言うのかな?」


いたっ!


「聞こえてますかー?」
「ねえ、あの人の名前は…?」
「え?誰?」


ビシッとあの彼に向けて、指を差した



「え?聖?下野聖だけど…。」


しものひじり…
しものひじり…

頭の中で流れ続ける名前




「おい、お前!人を指差すとは失礼な奴だな。」



気づくと目の前にその彼が立っていた


しものひじり…
本人だ!



「いやぁぁぁぁぁっっっ!!」
「は?」



あたしは大声で叫び、廊下を全力で走り抜けた



「なんだ?何なんだよっ!?」




これが彼、下野聖とあたし、吉野なのの出会いだった−





日常 かんな 志乃 なの 紫1 
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