あたしの家、吉野家はなぜかご近所でもかなり有名だったりします 両親は若い頃、駆け落ちをして結婚した(らしい) 財閥の令嬢だったママと恋に落ちた、駆け出しカメラマンだったパパ ２人の結婚は当たり前のように反対された パパは何度も何度もママのお家に理解を求めに行ったけど、門前払いだった ある日、ママが無理やり政略結婚されそうになったのをパパが教会から連れ去ったって聞いた パパは夢を追いかけながらも、ママを養う為に必死で働いたって 結局パパの夢は叶わなかったけど、ママが傍にいて、５人の子宝に恵まれて俺は幸せ者だって酔うとエンドレスで話す ドラマみたいな話だけど本当らしい そして、両親よりも有名な兄弟達があたしにはいる ３人の兄と１人の姉 長男・蒼(あおい)29歳 パティシエ パリのお店で修行を積み、去年念願だった自分の店をオープンさせました！ イケメンパティシエと実力共に騒がれ始めてて、時々雑誌に載ってます 蒼お兄ちゃんには甘いお菓子で小さい頃から甘やか(餌付け)されてきました 見た目は王子様系で笑顔が爽やかだけど、実は腹黒なんです 兄弟からは腹黒王子と呼ばれてます(笑) 次男・ 奏(かなで)25歳 いい加減な性格でチャラチャラしてて、お金にも女にもルーズなんです でも見た目は可愛いので、年上の女性にかなりモテてます 実は優秀な探偵←なんだって！ 幾つものIT企業からスカウトが来る位の技術の持ち主(本当かな…) なのの鞄に秘かにGPSを仕込んでいる(心配ゆえ) ３男・悠(ゆう) 20歳 文武両道で空手が得意 大学生 某有名Ｔ大学・法学部で幼少期から弁護士を志しています 兄弟の中で１番のしっかり者です 私の相談相手でもあります なぜなら１番まともだから！ そのお兄ちゃん達はご近所で、吉野イケメン３兄弟と呼ばれています そして、姉 長女・翠(みどり) 27歳 元モデル 生まれた時から女優なような華やかな容姿とオーラで、男性を魅了してきました 性格は天真爛漫 そして姉は、完璧なその美貌で見事なセレブ婚を去年しました そんな両親と兄弟達に囲まれて育ったあたし 「…んっ」 日曜の朝… 「なのちゅわん起きたー？んー、寝起きの顔もプリティー♪」 「………みーねぇ…？」 「そうっ！可愛い可愛いなのちゃんのおねーさんですよー」 「………ちょっと…苦し…、みーねぇ…」 「あっ、ごっめーん。顔を胸に埋め過ぎちゃったわね」 ﾄﾞﾝﾄﾞﾝﾄﾞﾝﾄﾞﾝﾄﾞﾝ− 「煩いわね〜。なのちゃん、ドア開けるわよ？」 「うん…」 「なの〜！おはよう！翠に喰われなかったか？」 「…蒼お兄ちゃん朝から声おっきい」 「ほら、なのちゃん嫌がってるわよ？」 「煩い！嫁に行ったはずのお前がなぜこの家にいる」 「旦那が出張でいないから、可愛い私のなのちゃんに会いに来たんじゃない ねー？なのちゃんも会いたかったわよねー？」 「旦那に愛想つかれたかと思ったけどな」 「ちょっと！旦那は私にメロメロよ！」 「どーだか！顔だけ女！」 「そっちこそ！腹黒王子！」 日曜の朝から人の部屋で兄弟ケンカしないで欲しいな… しかもいい年なのに、はぁ… 溜め息をついた瞬間、あたしの身体が浮いた 「びゃあ〜」 「びゃあって、なの姫は相変わらず可愛い反応するね〜」 「奏お兄ちゃん！？」 「そう、正確〜♪」 「なんで、抱っこ？」 「あの２人はほっといて２人で遊びに行こ♪いい天気だしね〜」 そのままあたしを抱っこして、部屋を出ていく奏お兄ちゃん 「「あ゛ー！！！！なのがいなーい！！」」 部屋から蒼お兄ちゃんと翠お姉ちゃんの叫び声が聞こえる 廊下に出ると、悠お兄ちゃんがいた 「…拉致したの？犯罪ですが」 「悠、違うよ。これは合意の上♪これからなの姫とデートしてくるから」 「なのパジャマですよ」 「うーん、問題ないない♪なの姫は何着てても可愛いから」 「あたしはイヤ〜！」 「嫌がってます。しかも全く合意していないではないですか」 「なの姫、嫌なの？」 「顔を洗ったり、着替えたり、朝ごはん食べたいの〜」 「んじゃ、仕方がない 寂しいけど、なの姫の支度が出来るまで待ってるから〜♪」 「早く降ろしてあげて下さい」 「はいはい、悠を怒らすと怖いからね〜」 「朝から大変だったね」 「悠お兄ちゃん、なんか疲れた」 「さあ、朝ごはん食べに下に降りよう」 私の背中に手を置いて、階段を降りようとすると後ろからバタバタと足音が聞こえてきた ………また始まる予感 「おらぁっ、悠！お前がひとり占めするな！」 「そーよー。なのちゃんは私のなんだから」 「なの姫にさりげなく触れるとか、悠もやるね〜」 「全く、煩い人達だ…」 「あはははは…(苦笑)」 「朝から賑やかでいいね、ママ」 「ええ、みんな仲良くていいわね、パパ」 こんな感じで吉野家は今日もなのを巡り、賑やかな戦いが繰り広げられます… fin

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