みんなで行こう 〜 牛丼家編 〜






とある日の放課後…




「なあ、かんな…、なんかすごい大所帯だな」
「まあ…ね」


ぞろぞろと歩くある集団を見て、生徒会長である宮本浩輝と文芸部部長の相澤かんなが呟く



「ひーくんとデート♪先輩達とデート♪ヤッホッイ♪」
「勘違いするな、吉野!これはデートではない」

「下野〜、照れない照れない。ね?紫サン♪」
「…どさくさ紛れに手を繋ぐな、北条」
「紫サンも照れちゃって、可愛いなあ」
「煩い。あっ、おい、なのっち。スキップするのはいいが、ちゃんと前を見ないと」
「は〜い♪紫センパイ♪ひーくん、あたしと一緒にスキップしよ〜?ルルルーン」




「先生?花に夢中になってないで、歩かないと…」
「…気になるから」
「また帰りにでもじっくり見ましょう?」
「…し……アンタと?」
「(し?)うん、私と」
「じゃあ、歩く…」



なぜか放課後に文芸部のメンバーとその彼氏とで、牛丼家に食べに行く事となった


なぜそんな流れになったのかは謎だか、可愛いかんなに誘われたら行かない訳にはいかないだろう


「みんな楽しそう」
「まあ、かなり個性的なメンバーではあるけどな」


そうこうしてる間に、目的地の牛丼家に着いた

店内に入ると、初めて組がわちゃわちゃと騒ぎ始めた
店員さんも何事かと困惑している

あー、煩い
でも、生徒会長としてこの場を収めなければならない


「とにかく落ち着いて順番に注文しよう」


…誰も聞いちゃいねー


「えっと、みんな?
カップル毎に注文していきましょうか」


え゛!?みんな素直に従っている
かんな、君って一体…


「こう兄は何を注文する?」


優しい微笑みを浮かべて聞いてくるかんな
きっといい母親になるのだろうな
…楽しみだ


「宮本センパイ!かんな先輩に見惚れてないで、早く注文してくださいよ〜!」
「お前!宮本先輩に向かってなんて口の聞き方してんだ!」
「痛いっ!デコピンしないでよ!」
「天罰だ」
「出たっ!ひーくんの宮本先輩大好き発言」
「お前は特盛りでいいんだな!?」
「あたしはつゆだく大盛なんだからっ!特盛りは乙女なんだから無理」
「…大盛頼んでるとこで既に乙女じゃないだろう」


よーしーの
あいつはいつか本気でシメないといけないな
それに比べ、下野はいい子だ


そして、何だかんだと注文を終えて、それぞれ2組に分かれ席に着いた


俺とかんな、下野に吉野
椎名先生と佐伯さん、鷹月さんに北条となった


目の前にいる下野と吉野は、お腹を空かしたライオンのごとく大盛牛丼を夢中で食べている

なんて素晴らしい食べっぷりなんだ!
特に下野!そのまま、そのままなお前でおっきくなれよ!


俺とかんなは並を注文した
多分、かんなは食べきれないだろうから少しは俺が食べる事になるだろう…
かんなにあーんしてもらえるだろうか?

いかん!顔がニヤケてしまう
吉野に突っ込まれる前に視線を隣のテーブルに移した


北条は並か…
デカい割にはそんなに食べないんだな
佐伯さんと鷹月さんは少盛りか
確かに華奢な2人はそうだろうな

それに比べ吉野は…、未だにどんぶりに顔を埋める勢いで食べている
顔は全く悪くないのに、本当になんか残念な子だ


ふと椎名先生を見ると、少盛り牛丼を何となく食べては味噌汁を美味しそうに啜っている…

「コレ、温まるね…」
「良かったですね、先生」
「アンタは味噌汁作れる?」
「はい、作れますよ」
「うん…、良かった」
「?」

幸せそうに、佐伯さんと話している
なんとも穏やかな空気が流れているではないか
ん?目の錯覚だろうか?
一瞬、俺のお祖父さんとかぶった気が………いや、気のせいだろう……多分……


「お前は食べずに何を見ている」
「えー、紫サンを見てました」
「何でだ?」
「初めて来た牛丼家で牛丼をぎごちなく食べる紫サンは世界一可愛いなぁって」
「///…バカか。早く食べろ」
「紫サン見てたらお腹いっぱいになっちゃいました」
「北条〜、いい加減にしろ!」


あそこも相変わらずだな

かんなに視線を移すと、もう食べ終えそうじゃないか
かんなのあーんは?あーんはないのか?

「かんな、全部食べれるか?」
「うーん、ちょっと辛いけど大丈夫。こう兄と一緒に食べてるからすっごく美味しく感じるの」
天使だ!天使がいる!
皆さーん、俺の彼女は天使です!

「こう兄も冷める前に食べないと」
「ん?ああ…、そうだな」

なんて冷静を装い食べ始めるけれど、かんなの可愛さに俺の独占欲が限界だ
あー、早くかんなと2人きりになりたい!(浩輝の心の叫び)



「吉野、もう一杯おかわりするぞ」
「どんと来い!」


「紫サン、あーんしてくださいよ!」
「断る」


「…お豆腐の味噌汁が好きかな」
「私も好きですよ」


「こう兄、そんなに口いっぱいに入れなくても」
「ふご…むご…」(かんなと早く2人きりに!)



みんなそれぞれ楽しく牛丼家の時間を過ごしましたとさ←





fin
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