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スペシャルディ

(真歩さんへ プラネットガールさん一周年記念として)
ピートは牧場で過ごす日々を、とても素晴らしいものと感じていました。
まだまだ規模は小さいながらも、愛情を注いで育てた動物たち、少しずつ少しずつ広げていった野菜畑、そして牧場を縁取るように咲く可愛い花々、これらに囲まれて生活していると、自然と心に余裕が出来てきて、ただ生きていることが楽しくて幸せなのでした。
これには彼とともに牧場を営むクレアも同じ気持ちでした。
ピートとクレアは同じ牧場で働く仲間であり、また恋人同士でもありました。
二人は夕暮れ時になると牧場内に流れる小川に沿って、自分たちの愛すべき牧場をゆっくりと手を取り合って歩きました。
小川は牧場とマザーズヒルの麓の森とをちょうど遮るように流れていて、牧場からは小川のむこうにポプラ並木が見えます。二人はこの町の大地にしっかりと根を張り、空に向かって真っ直ぐ立つポプラを見て歩くのが好きでした。自分たちもこの木のように真っ直ぐに成長していきたいと思うのです。
風が少し肌寒いけれど、二人がこの町に来て二度目の春が来ました。
そしてこの日は二人が牧場を始めてちょうど一年になる日でした。
二人の夕暮れ時の散歩は二人のお喋りの時間です。
クレアはピートの手をいつもより少し強く握って言いました。
「この一年間、すっごく楽しかったね」
クレアはあれだこれだとたくさんのことを振り返って、一年間の牧場生活での思い出話をピートに聞かせました。またピートも、そのどれもクレアと同じように鮮明に思い出すことができました。
「この一年間、毎日がほんとに素晴らしい日々だったように思うよ」
ピートは素直にクレアに賛同しましたが、だけど…と続けました。
クレアは一瞬不安になりましたが、ピートの悪戯な笑顔に気付いて「なによ!」とピートの肩を叩きました。
「この一年間も素晴らしいけど、一年前のあの日からちょうど一年経ったこの日はもっと素晴らしい日と思えてならないんだよね」
ピートは頭を掻きながらそう言って、ちらりとクレアの方を見ました。二人は一瞬目を合わすと、お互い別々の方に視線をそらし、にっこりと笑いました。
「わたしたちの一周年だもんね。これからもよろしくね」
「ああ、こちらこそ」
二人がこうも同じ気持ちなのは、それは何よりお互いを想っているからなのです。
おそらくこれから二人は難なく幸せになるでしょう。
二人の大切なものが同じである限り、それを守ろうとする気持ちが強くなるにつれて、二人の愛もまたポプラの木のように何の迷いもなく真っ直ぐに育っていくのです。

おしまい
真歩さん、サイト一周年おめでとうございます!
これからも応援してます!

牧場を始めて一周年っていうおはなしです。
ミネラルタウンに勝手にポプラを植えてしまいました←
毎度捏造多くてすみません!