悪戯キューピッド
この世で一番なにが楽しいって、それは悪戯に決まっている!
何がなんでも悪戯に決まっている!
そう断言するのはホークアイとアンジェラの悪戯好きの二人です。
悪戯とは、例えば、デュランの夕飯に大量のサルタン香辛料を入れてみたり、シャルのパンツをケヴィンのバッグに入れてみたり、リースの靴を左右逆に履かせてみたりすることです。
このように二人は日々色々な悪戯にはげんでいるのです。
「アンジェラ、今度はなにしようか?」
ホークアイが次の悪戯会議をアンジェラに持ちかけました。
「そうねえ、どうしましょ」
「ぼくがリースちゃんのベッドにこっそり忍び込むっていうのはどうかな」
「アンタがやりたいだけでしょ」
ホークアイはいつもアンジェラとの悪戯を利用しては、リースにチョッカイを出していました。
そのたびにリースはカンカンに怒りますが、ホークがヘラヘラ謝るところを見てはリースはつい笑顔になってしまって、またその笑顔にホークアイがデレデレする、それが彼の悪戯による楽しみなのでした。
「アンジェラもデュランにチョッカイ出しちゃえよ〜、二人の距離もぐうっと近づいちゃうよ」
「そうね〜、デュランにね……」
「もー!焦れったいことこの上ない!俺に任せなさい!」
いつまで経ってもアンジェラに手を出さないデュラン。普段は横暴なのに、恋には内気でなかなかアピールしないアンジェラ。ホークアイはそんな二人にいつもイライラしていました。
今回の悪戯はホークアイが一肌脱いで、アンジェラたちをくっつけちゃうという主旨がありました。
「デュランにアンジェラのパンツをみせて、ムラムラさせてやるんだぜい」
夜、ホークアイはそう言い、アンジェラのカバンの中から下着を一枚・・・・・・・・・ところが、
「ぎゃーヘンタイ!ヘンタイでち!!」
「シシシシシャル!!ちがっ」
こそこそ女のパンツを盗むところを発見された無様なシーフ。第一発見者のシャルロットの叫びによって、ケヴィン、デュラン、アンジェラ、リースみんながつぎつぎに現場に集まってきました。
「ぎょっ、ホークアイ、な、なにしてる?」
「ホークアイ、あなたって人は本当に困った人ですね」
「げげー!ホーク、アンタなにしてるのよ〜!」
みんなが冷めた目でホークアイを見ています。アンジェラさえも、つい先程まで悪戯仲間であった彼女でさえも冷たい目で見ています。
中でもデュランは人一倍冷たい目でホークアイを見ました。
「違うんだ!みんな!ぼくは……」
「ホークアイ」
「デュラン!違う……!」
ボカッ!ドサッ!
弁解を始めたホークアイでしたが、一言二言言わないうちに床に倒れました。デュランが彼に鉄拳を食らわしたのです。
彼はホークアイを睨むと、小さな声ながらも存在感強く言い放ちました。
「いくらスケベなお前だが、オレの女にまで手を出すとはな」
「イテテ、だからちがうって!」
「言い訳は無用だぜ、このチャラ男!!」
デュランはそう言い、もう一発ホークアイに鉄拳をお見舞するとその場を去っていきました。
残された他のみんなは、ホークアイのことを白い目で見ながらも、デュランのアンジェラは「オレの女」発言ににんまり。アンジェラをひやかしたり、祝ったりしています。
「アンジェラ、デュランはアンジェラがすき!」
「アンジェラしゃん、両想いでちね」
リースもホークアイを叱りながらも、どこかニコニコしていました。
「ぼくはね、リースちゃん、アンジェラの為にね、パンツを盗もうとしたんだよ」
「どうでしょうか、でも……」
リースはアンジェラのすごく嬉しそうにしている姿を見ました。ホークアイもそれに気付き、「ほらね」なんて言いながら胸をはります。
「でもパンツはどうかと思います」
「たしかに、そうかも。」
そんなわけで、アンジェラとデュランの恋が一歩前進したのも、悪戯の賜物であるとは言えなくもないのでありました。
おしまい
なんでしょう、この微妙なかんじ。
ギャグでもないしなー!