07 | ナノ





07
Decisive Battle at The Top



「ライさん!#夢主名前#さん!!」


『…あぁ〜 トマトパスタァ〜、……ぐー…』


「ちょっと!二人ともいないんですか?!

 もう…、入りますよ!」

-ガチャ、、


「…。(プチッ)


 起きてください!!!!」


『〔わっ!?〕』



+++


私達はレンにたたき起こされた。

一体なにがあったというのだろう?



「全く二人とも…。皆さんが居なくなってしまったというのに…。」


『〔えぇっ!?/はぁっ!?〕』


《しかも何か塔が出来てたし。》


「ついでに“居ない”と言うより“消えた”といった感じなんです…。う゛ぅ。」


〔ちょっ、レン泣くな!
 えっと、何かねぇのか?ホラ、何か言ってたとか…。〕

「…ぁ! ヒック、確か、お師匠、様が、あの塔は“この世に受け入れられない”物だ。って、」


《…それって、》

『うん、
 あの塔を壊すべきだってことだろうね。』

「これくらい、ヒック、しか、役に立てなくて、すいません…。#夢主名前#さん、お師匠様がこの手紙を、と。」

『わかった。レン、ありがとう!
 私、行って来る。狂った計画を止めてみせるよ。』

《#夢主名前#、“私達”にしてよね!
 レン、これがボクらの一番の、…多分、最後の恩返し。信じて待っててね!》

「…はい!」



+++

これが塔か…。大きいな。

『よし、行こうk[思ったよりもはやかったですね。光風の姫君。]』

《あーーーー!お前、あのときのっ!》

私達をこの世界にとばした張本人だ。しかも遮りやがったよ。カナタがキレるのもわかるわ…。

[今は私の事についてはどうでもいいでしょう?
 それよりも頼み事があるのです。]

『頼みごとってラー(ryを潰すことじゃないの?』
〔オレらの目的はあの塔を壊すことと皆を捜す事じゃなかったのか?〕

[それもあるのですが、あなたには頂上にいるペガサスを救ってもらわなければなりません。]
『救う? その子もラー(ryに何かされたの?』
[呪いを掛けられています。]
『でも、私に呪いを解く力はない…。』
[フフフ、ありますよ…あなたの風は浄化の力を持った“聖なる風”です。
 風妖狐の浄化の才なるものがあったからだとおもいますが。邪な力と戦うときに有利ですね。

 さて、あなたに今から一つの風を教えます。この風で呪いは解ける筈です。]

『わかった。』


[首から掛けているクリスタルに魔力を集中させてください。
 助ける、護る、恋心でも友情でもいいので具体的に“想い”を浮かべてください。
 “想い”が定まったら“聖清風(せいせいか)”と唱えてください。]

『聖清風ね。ん。』

[じゃ、今から塔の頂上へあなた達を送ります。貴方達なら出来ると思っています。では、 



 フフッ!せいぜい頑張るんだな!!]




『《お前、それが本性か!!》』

って、ちょっ!また落ちてるしーーッ!!

《くぅっ、金護風!》
頂上の扉の前についた(落ちた)。あっぶなー;コハクの金護風がなかったら救う以前に私達が死んでいた;

〔もう、いいか?〕
ライは心配なのだろう。切羽詰まった顔をしている。
『うん。』
私は煌風衣を纏った。

大丈夫、きっと

(バタンー…


+++

「…やはりお前らが災厄の因子だったのだな。」

扉を勢いよく開け放つとそこにはラー(ryがいた。
災厄って何…?
やはりって、



「二千年前の話…、世界にはクリスタルと呼ばれる鉱石があちこちで採掘されていた。

 人々はそのクリスタルで生活をしていたのだ。

 だが、世界中のクリスタルが次々に消えてしまう事件が起こった。

 当然クリスタルに頼り生活をしていたその文明ほ滅んだ。

 私は自らを不死の体にし、その原因をつきとめた。」


『不死の体?!そんなのあるわけない…!』


「今目の前に存在している私が証拠だ。

 その原因は、もうすぐ此処で起こる。それを止める為に私はこの塔を造ったのだ!」



〔つまり、オレらはその原因を起こさなくちゃいけねぇってことか。〕

『…だね。』


過去を変えるつもりなのかな…。

不死、か…。それが仮に本当なら…


《#夢主名前#!》

『ん?』

《とりあえず闘おうよ。さっき、あいつが#夢主名前#には浄化の力があるって言ってたじゃん!》

『…そうだね。ありがと、コハク』


そうだ、此処に居るだけじゃ意味がない。

レンに約束したんだ。

とにかく闘おう。

もしかしたら、その時にその原因が起きるかも知れない。




『煌風衣。』

#夢主名前#は煌風衣を纏い構える。

『(―スゥ、)』

―タッ

〔援護する。〕

ライが弓矢で#夢主名前#の援護をしている。



『(バキッ)』

「ぐはっ、
 
 …!何だこの力は!」

ラーケイクスが怯んだ隙に剣をつくり手にした。

『ライトメイク剣!』


#夢主名前#は#夢主名前#の喉元に切っ先をあてた。




〔#夢主名前#、そこまでしなくても…、〕

『…。』


別に躊躇いはない。
ライにどう思われようが知ったことではないし。


ただ、その原因を起こさないと終わらない。そんな気がする…。

まだか…?



するとラー(ryが怯えだした。

「そんな、馬鹿な……!

 計算は完璧だった筈、」

見ると、後ろには

森の泉のクリスタル、“クリスタルコア”があった。

「ラーケイクス、確かにお前の計算は間違っていなかった。

 ただ、計算になかった、幾つかの誤差が在ったんだ。」


その誤差とは、きっと―

「#夢主名前#だよ。

 彼女らの存在がこの世界を変えた。


 そうじゃなくても、過去など簡単には変えられないものだ。



 …。時に、何故こんな場所にコレが現れたと思う?何もない空中に。」


ラー(ryはシェルロッタの言わんとすることがわかったようだ。
顔がみるみる歪んでいく。

「ば、馬鹿な、私が塔を造ったからだと…?!」


「こんな塔を造らなければもっと他の場所で起こっていたのかも知れないな…。

 さぁ、終わらせようか、この闘いを。
 私達は生き過ぎた…。あの時へ共に還ろう。」

『シェルロッタ!!』

「安心しろ、ラーケイクスはクリスタルコアが無へ還すよ。」

『違う!そうじゃなくて、』
〔シェルロッタは、〕

「…。一つわかったことがある。


 何故あのクリスタルがあの日、突然森に現れたか。

 何故あのクリスタルだけがあいつの作った一切の物を拒絶するのか。


 漸く解ったよ…。
 あれは、私自身が創ったものだったのだな…。」




一つの物語は終焉“フィナーレ”を迎える

二千年の物語

これは
“Ecose of Time ”
―水晶の世界での話



+++
《消えた、ね。》

シェルロッタ達が消えた後の沈黙を破ったのはコハクだった。

『レンに約束したのにね。』

そう、私達はレンに約束したんだ。
皆を連れて帰るって。
だけど、今のこの状況はどうだ。
何一つ約束を守れていない。

もう約束を破らないと決めたのはいつだっただろうか。



〔クリスタルコアが現れた日ってのは、ラーケイクスがオレのクリスタルに触れたときに見えた映像だろうな。〕

そういえば、あの時、ライの昔だけでなく、様々なものが見えた。
ライはよく、それを夢に見てたらしい。
あれが昔のシェルロッタだと気付いたのは此処に来てからだそうだ。



―助け、て、下さい―

『!』

この声、この世界にくる時の…、



いつの間にか、私達の目の前に、一頭のペガサスが現れていた。

そのペガサスは体が漆黒をしていて、瞳は狂うような緋色をしている。


あの声は目の前のペガサスのものなのかな…?



―! 俺の声が聞こえているんですね!俺は貴女の前のペガサスです。―


?多分ね。
ペガサス…。あ、ラーケイクスに呪いを掛けられたっていう?

―そこまで知っているんですね…。では、話が早いです。

 どうか…、どうか俺を殺めていただけませんか?―
な、殺める!?
『そんなこと絶対にしない!!』

―俺は誰も傷付けたくありません。
 呪いでは、力を護るためではなく、傷付ける為に使われてしまいます。―


そんなこと、言わないで。解けるように頑張ってみる。
だから、お願い、

殺めてなんて言わないで…





このペガサスを助けたい。
自分の身よりも他人を案じた優しい子。


私はこの子の本当の姿を見てみたい。
きっと、こんな姿じゃない。


それに何より、辛そうだから…。


だから、私は助けたい!!

『聖清風!』


一陣の銀の風が吹く。

私とペガサスを風と白い光が囲む。目が開けられない。


「…っ、あ!呪いが…」

この声はあのペガサスの!

「貴女が助けてくれたんですよね、ありがとうございました。」

傷とかはないっぽい…。

『どういたしまして!』


さっきと同じペガサスは色だけが違っていた。

瞳は蒼く、透き通るようで、全ての始まりと言われる深く広大な海を連想させる。

体は聖清風のように、しかし、より輝く白銀だ。


『綺麗…。

 あ、君、名前は?』

「…、無いのです。」

少し寂しそうに言う。


『…。あとで私がつけてもいいかな?』

「! 勿論構いません!」
ペガサスは一気に表情を輝かせた。


「…よし。
 一つお願いがあります。」

『何?』

「俺を仲間にしてください!一生ついていかせて下さい。」

『〔《え、》〕』

一生ついていかせて下さいって;

『私は構わないけど、君はいいの?』

「はい!ありがとうございます…!!」



《…。村に戻ろうよ。》

『そうだね。』

コハクは何だかむくれている。
何でだろう?…可愛いからいいや。←

+++

私達は村へ帰った。

「ライさん、#夢主名前#さん、琥珀さん!」

『ただいま、』

「皆さんが行ってから凄いことが起きたんです。」


レンの話を要約すると

・村の皆が戻っていた
・皆は透けていた
・泣き声が森から聞こえた
・森の泉に小さな子供が二人いた


『…マジっスか。』

森の泉に行ってみることになった。



+++


〔…シェルロッタ?〕

「そうだ。」

森の泉にいた子供達は、一人シェルロッタにそっくりだった。

小さいけれど、私が見慣れているシェルロッタに似ている少女(シエロ)
と、話し方がそっくりで塔にいたシェルロッタの外見を持つ少女(ルタ)

何でもシエロが容姿、ルタが記憶を受け継いでいるとか。

ルタは二千年前の真実を私達に語ってくれた。


+++


「#夢主名前#、これをやる。」

『ピアス?』

「そうだ。昔見つけたのだ。」

「これがあったら#夢主名前#はわたし達とお話できるんだよ、…のだ!」

…。シエロ可愛いな

〔通信機だ。半分にわけて持っていると通信が出来る。〕

『通信機なんて』

《そうか、ボク達はもう役目を果たしたから戻らなきゃいけないんだね。》


寂しそうなコハクに気付いたシエロが言う。

「コハク君、シエロとルタ、レンお姉ちゃんとライはずっと忘れないよ!」

手をパタパタさせ、必死に言うシエロはとても可愛い。
《ありがとう。ボクも忘れない!》

コハクはシエロの御蔭で寂しさは薄れたらしい。
笑顔でシエロとルタと話している。



…さっきからペガサス君が居心地悪そうだ。

そりゃそうか。


あ、
『ペガサス君、君の名前“翼輝(ツバキ)”でどうかな?
 ちょっと女の子っぽいかも知れないけど。』


《翼輝、ですか。とても素敵な名前です!
 主、ありがとうございます。》

ツバキは名前を小さく発音し、笑顔を零した。


『良かった。

 主従関係じゃなくて、仲間…家族だから、#夢主名前#って呼んで?』


《…はい!》

ツバキ、これからよろしくね!


ふと思った。
あの場所にいたのはペガサスだからなのかな…?

[フフ、それもありますが他に理由があります。]

『《あーっ!》』


「何奴だ?」「誰ー?」「誰でしょう?」〔(あの時の…)〕

『というか、読心術?!心読むな!』

[そんなところですね。(心読むな、はスルーか! by#夢主名前#)
 先程の話ですが、そのペガサスが“攻獣”だからです。]

『《《攻獣?》》』

[字の通りですよ。妖狐は“護獣”。先代護獣は風妖狐です。]

『カザネが先代…』

《ボクが護獣?》

[全ての世界に攻護獣は一体ずつです。特に仕事はありませんが。]

二匹とも私の仲間って…。よく考えると凄いな。;

[あなた方はもう役目を終えたので元の世界に戻ってもらいます。]

『そっか。』

[…。フフ、シエロとルタが力を合わせれば二つの世界の行き来は可能です。ペガサスも行けるのではないでしょうか。
 光風の姫君(アイェリーノ)は、…"お願い"をしてみてはどうでしょうか。彼の気分次第で、行けるかも知れませんよ。]

彼…?

[さて、では今から戻します。]

―パチッ―

『…… もう?!って、また落ちてるーーっ!まだ、さようなら言ってない!』

バキィッ‐


うちの近くの森に着地(?)。
木を折りながら減速した。(不本意ながら)

もう、やだ…!




ヒラッ‐

空から紙が降ってきた。


《読んでー!》
『ほいほーい。えーっと、何々?』

『"攻獣はもう擬人化が出来る筈です。是非、フェアリーテイルに入ってもらいましょう!"』
…イラっと来るな。
絶対あの男だな。

《擬人化?》

『んー。字から考えて人になることじゃないかな。ツバキ、やって欲しいな!ちょっと怪しいけど。』

《俺も気になりますね。擬人化ですか…。》


そういった瞬間ツバキは光に包まれ、代わりにそこには人がいた。


『…格好良い。

 もしかして、ツバキ?』
《?
 はい。もしかしなくてもツバキですが。》

《…人になってる。》

《えぇ!?》


そりゃ驚くわな。;


後からきいてみた所、ツバキはフェアリーテイルに入ってくれるらしい。

とっても嬉しいんだけど、ツバキは格好良いからいろいろと大変そう…。

頑張れツバキ!





頂上決戦

(新たな力と新たな仲間)






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