チロルチョコ

朝、一時限目の用意をしているところへ
尾浜はやってきた。

「チロルチョコ、新フレーバー出てたんけど食べた?」

学校へ来る間にコンビニへ寄ったらしい彼は
セブンイレブンの袋を片手に私の机の前に立っていた。

私が知らないと言うと
「そう思って買ってきたよ」と一つ差し出した。

ありがとう、気が利くね!なんて言いながら
包みを開けていると「俺も食べたいんだよね」と言われた。

「買ってきたんでしょ?尾浜も食べればいいじゃない」
「うん、1個だけね」
「1個だけ?」
「うん、1個だけ買ってきたの」

返した方がいい?と聞きながら
半分包みの開いたチロルチョコを尾浜へ渡すと
「いいよ。一緒に食べようと思って買ってきたんだから」
と制された。

一つしかないのに一緒に食べる?
この小さいチョコを半分に分けるのか?

「…分けにくくない?」
「大丈夫だよ、俺いい方法知ってるから」

悪戯っぽい笑みを浮かべた彼は
そういうとチロルチョコを私の口に放り込み
自分の口で蓋をした。

朝の教室にチロルチョコの甘い香りが広がった。

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