*ダークなテリバなので注意。
「な、なんであんたが、いるの」
目の前にはかつて恋人であった銀色の髪を持つ少年、いや青年がいた。今も恋人と呼んでいいのか、ダメなのか曖昧だ、と悩んでしまうぐらいに二人が離れた時間は長かった。そう、二人が一緒に過ごした時間よりも。
そんなことよりも今、重要視すべきなのは本来、夢の世界の住人しかここにはいられない。いてはならないというのに何故、彼がいるのか。聞きたくても上手く言葉に出来ないのは数年ぶりとかそういうものではなく彼が、明らかにおかしいからだ。まるでヘルクラウド城でデュランに操られていた時と同じ、もしくはそれ以上の魔物の臭いがする。
「……会いに、きた」
嬉しい言葉のはずなのに今はただただ恐い。
虚ろな瞳、感情が感じられない声色と表情。
こんなのテリーじゃない。
「テリー、変だよ…?ねえ、どうしちゃったの?」
「変……?」
「何があったの?何を、しちゃったの?」
自惚れかもしれないけど、テリーはあたしに会うために何かいけないことをしてしまったんだと思う。テリーが悪いんじゃない。ちゃんと言わなかったあたしが悪いんだ。あたしがテリーを置いていっちゃったから。
「ごめんね、テリー」
あたしもテリーに会いたくて眠れない夜はいつも泣くのを我慢してた。でも、禁忌を犯してまで会おうとは思わなかった。テリーのこと、好きなのに、あたしテリーのことを忘れかけていた。
テリーの胸元にしがみつくとテリーの体が小さく震えた。
テリーがあたしの背中に手を当ててくれたのに温かくなくて、涙が込み上げてきた。
「ずっと…一緒に、」
「テリー…?」
テリーが、泣いている。
この人がテリーなのか、テリーじゃない“なにか”なのかもう分からなくなる。
「一緒に、いられる方法が、見つかった」
ねえ、それは良い方法なの?
何か悪いことをしちゃうんじゃないの?
そんな思いもテリーに唇を重ねられるとどうでもよくなった。
あたしはテリーとずっと一緒に、いたい。
それでいいんだよね。
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Poison×Apple(20140902)
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