テリバ
主ミレ
*上記のカプが性別逆転。途中で力尽きたもの。
アークボルトで初めて彼女を見た瞬間、心を奪われた。肩より下ぐらいに切り揃えられているサラサラな銀の髪とアメジストの瞳。何もかもが綺麗だった。
それから色々あって彼女がミレーユの妹だったことが判明して共に旅をすることになった。
テリーは兄以外とはあまり話さなかったけれど仲間でわいわい、と騒いでいるとき微かに笑っているのをオレは知っている。
「テリーはもっと笑えば可愛いのに」
馬車の中でテリーと二人で談笑しているといつの間にかそう呟いていた。
「はあ!?お前なに言って…」
顔を真っ赤にして睨み付けてくるテリーはやっぱり可愛らしい。
よく見たらテリーはレックよりも背が低いし、小柄だ。
「…ほら、真っ赤になってる!テリーったら可愛いー!」
自分の一言でコロコロと表情を変わるテリーに頬が自然と緩む。
ポーカーフェイスだと思ったが実はそうではないらしい。
「……そんなの、初めて言われた」
「テリーのことだから言われ慣れてるかと思ってた。」
「綺麗だとは言われたことがある。でもお前みたいに真っ直ぐ言われたことは初めてだ」
「レックも可愛いって言ってたよ。お友だちになりたいって」
レックも見た目は男だけど中身はちゃんと女の子だ。
それにレックと同年代で同性なのはテリーだけだ。
「お友だち、か…。そういうの今まで興味なかった…というよりも自分には手に入れられないものだと思ってた」
「馬鹿だなぁ、テリーは…まだまだ若いのに。」
テリーの頭に手を伸ばし、サラサラな銀の髪を触る。
最初は抵抗していたテリーも今は顔から耳まで真っ赤にして俯いている。
なんだろう、この可愛い生き物は。
「ふふ、仲良しだね二人とも」
戦闘を終えて交代しに来たミレーユがからかうように笑う。その横にはニヤニヤと笑っているレックがいる。
「なっ、兄さん!これはコイツが勝手に…!」
「恥ずかしがんなくてもいいじゃん!ね、テリー」
「うっさい!」
髪を触っていたオレの手をテリーは振り払って立て掛けていた剣を腰に下げて馬車を降りて行った。
「素直じゃないよなぁ、テリーのやつ」
「あなたがそれ言うの?」
「うっ…」
ミレーユの言葉にレックは顔を真っ赤にして目を泳がす。
そういえばこの二人は恋人なはずなのに恋人特有のイチャイチャな雰囲気を感じられない。
実はこの前、偶然キスをしている二人を見てしまったことはあるけど。
「レック、テリーが呼んでるよ」
「いま行くー!」
レックが馬車を降りると馬車の中はオレとミレーユの二人だけになる。
「ね、バーバラ」
「んー?」
「うちの妹どう?」
「予想以上に可愛い。さすがミレーユの妹だよね」
オレの言葉にミレーユは嬉しそうに笑いながらうんうん、と頷いている。
どうやらミレーユも極度のシスコンらしい。
レックがテリーとミレーユをじゃれてるのを見て嫉妬していたけど確かにこれは嫉妬するかも。
思い出してみればテリーが仲間になってからミレーユはなにかとテリーにくっついていた。
「ふふ、ありがとう。テリーもバーバラのこと気に入ってるみたい」
「だと良いんだけどねー」
テリーはツンデレだから嫌われてるわけじゃないよね。
「あとはバーバラがテリーをお嫁にもらってくれると一安心なんだけど」
ミレーユのいきなりぶっ飛んだ発言に自分の中の時が一瞬だけ止まる。
「えっと…それはどういう意味…?」
「バーバラってテリーのこと好きなんじゃないの?兄としては少し寂しい気もするけど応援するよ?」
バレてたか、さすがミレーユ。
しかも応援までされてしまった。
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