*現実世界の主人公と夢の世界の主人公の違いに寂しくなるミレーユの短い話。
初めて彼に会った時は私よりも背が低くてどこか頼りなくて、まだまだ世間知らずだったのにサンマリーノで再会した彼は私の知っている彼とは全然違って戸惑った。背は私よりも少しだけ高くて、性格も男らしくて、少し子供っぽい無邪気さと無鉄砲さがある彼はやっぱりあの時の彼とは違う。
(…きっとあの子の理想があなたなのね)
彼が夢見た理想の姿が今の彼…レックだ。そのことは頭で理解していても心が理解してくれない。自分の知っている部分を必死に探して、違いを見つけるたびに悲しくなる。
「ミレーユってさ、もしかしてオレのこと嫌い?」
レックが困ったように笑ってそう聞いてきた。
「なんでそんなことを聞くの?私はレックのこと好きよ。仲間としてね、」
「……そっか。」
レックは嬉しそうに笑った。笑ったときの顔はあの時の彼と同じもので何故か胸がきゅうぅ、と苦しくなった。
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