いつか終わりが来ることはなんとなく分かっていた。芽生え始めていたこの感情が大きくなってしまう前に摘み取ってしまっていたならどれだけ楽だったんだろう。あたしはもうこれ以上辛い気持ちになりたくないよ。
***
野宿していた夜。蒸し暑い馬車ではなかなか寝つけなくて、色々考えてた、っていうのもあるけど。他の仲間を起こさないように音をたてないように外に出る。夜の風は涼しくて少し肌寒いけど考え事には打ってつけだと思う。
「…風邪ひくぞ」
「……テリー」
確か今日はテリーが寝ずの番だったっけ。でも今だけは会いたくなかった。
「大丈夫だってば。あたしこう見えて体は丈夫だし!それに馬鹿は風邪ひかないって言うじゃない?」
「だとしてもその格好は寒いだろ」
テリーったら心配性だなぁ。こういう所がミレーユと似てるよね。
「ったく、面倒がかかるやつだな。」
テリーに腕を引っ張られて抱き締められる形になる。どうしてテリーはあたしを抱き締めるの?その答えを知ってしまったらきっとまたあたしは辛くなるだけだから考えることは放棄した。触れた場所が熱くてまた胸が苦しくなって、今、この瞬間があまりに幸せすぎて泣きたくなった。もうこれ以上好きになりたくないよ。だからあたしに優しくしないで、という言葉は口に出せずにただ静かに息を吐き出すだけだった。
あとがき
両片想いで切ない話を目指しました。お互い好きだけどバーバラは自分が実体ないことを知っているし、苦しい思いをしたくないから自分の気持ちを抑えつけてて、テリーもなんとなくバーバラが消えちゃうことはわかってるけど好きだから気にかけちゃうみたいな。
このカプは切ない。
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確かに恋だった(20140528)
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