窓から差し込む光の眩しさに薄く目を開いて隣を見るとそこにはまだ実感が湧かないけれど昨日結婚した夫の姿があった。リング探しのせいで疲れが溜まっていたのか起きる気配がないことを良いことに少し固めの黒い髪を撫でる。穏やかな寝顔が小さい頃の寝顔と変わらず口許を緩める。


「よいしょっと…」


ダブルベッドから降りていつもの服に着替えて二階に上がり上から寝ている彼を観察する。
しばらくそうしていると目を覚ました彼がベッドの上で軽く体を起こした。私はすぐに一階に降りてベッドに駆け寄る。


「ちょ、ちょっとリュカ!」


いきなり腕を引っ張られ、彼の体に倒れこむ形になり、そのまま抱き締められる。最初は何とか抵抗していたがすっかり成長していた青年の力に敵うはずもなく私はいつの間にか大人しく彼に抱き締められていた。


「ビアンカ、おはよう」


「うん、おはよう。リュカ」


一番最初におはようと言えるのが嬉しい。これからずっとこうやっておはようと言い合えると思ったら胸の中が凄くポカポカと温かくなった。


「私たち、結婚したんだよね」


「うん」


私は結婚したんだ。
ようやく実感すると何だか変な感じで何となく照れてしまうがそれは彼も同じようで彼も照れくさそうに笑った。





(20141106)



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