今年もそういうことで





*現パロで正月ねた。
恋人設定


「あと少しで新年かぁ…」


あたしは炬燵の上にあるみかん…ではなくお菓子を、主にスナック菓子を食べつつ、テレビを見ていた。こんな時間にスナック菓子なんて太るぞ、なんて言ってくる口うるさい恋人は何故かあたしの膝の上で穏やかな顔で眠っている。いつも眉間に皺を寄せている顔ばかりだからこの寝顔はなかなかレアだ。だから起こすわけにもいかず、あたしは寂しくテレビを見ていた。目当ての歌手のものは見たから紅白をもう見る必要性もないけれどカウントダウンのために一応付けておく。というか、付けておかないと寂しい。
いい加減寂しくなってあたしの自由と膝の上を奪っている恋人を揺さぶる。するとたちまち穏やかだった表情が険しい表情に変わった。あぁ、これはたぶん文句言われるだろうなぁと思いつつも更に揺さぶるとようやく起きた。


「やっと起きたよ、テリー…」
「まだ眠いんだが」
「二度寝したらそのまま寝過ごしちゃいそうだから絶対に起きててねっ!」
「はいはい」


テリーは眠そうに欠伸して炬燵の上にあるお菓子を手にとって食べ始めた。テリーはいくら食べても全く太らない体質という女子にとって羨ましすぎる体質なんだよね。髪もその辺の女子よりも全然綺麗だし、テリーってホント美人だよなぁ、とか思いつつ、テリーの寝癖を手ぐしで直してやる。
こういう子供っぽいところというか自分の容姿に無頓着なところがテリーなんだよね。


「あと1分だって! あーあ、本当は初詣行きたかったなぁ…。」
「じゃあ来年な」
「うんっ!」


こうやって当たり前のように来年の約束が出来てしまうことが本当に嬉しい。


『5…4…3…2…』


テレビの向こうの人たちがカウントダウンを始める。
あと1秒となるところで視界がテレビからテリーの綺麗な瞳で占められた。突然奪われた唇にびっくりしつつ、目を静かに閉じる。
テレビの音声から年がもう明けたことが分かるとテリーもあたしから身体を離した。テリーの唇が離れてしまったことに少し寂しさも感じながら目を開けてすぐ隣を見ると少し頬を赤くしているテリーがいた。


「………………」
「………………」


こういう時どうやって反応すればいいのかな。まるで付き合いたて当初のように視線をテリーからそらす。


「今年もそういうことでよろしくねテリー!」


気まずい空気を壊すようににっこり笑ってテリーの手を握るとテリーも少し笑って手を握り返してくれた。





title*HENCE
(20150111)




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