君のせいの煩悩



*現パロで正月ねた。
恋人設定で少しほのめかすような描写があるので注意。





「あー、もう…終わる気がしなーい」


そう言って先程までこたつで暖まりながらせっせと年賀状を書いていたバーバラが床に転がるのを見てオレはみかんの皮を剥いていた手を止めてバーバラの頭を叩く。


「痛いってばぁ…。なんでレックは呑気にみかん食べてるのにあたしは年賀状を書かなきゃいけないわけ」
「バーバラが早く書かないからだろ? 自業自得だっつーの」
「むぅ…返す言葉もございません」


バーバラが再びペンを取って年賀状を書き始めるのを確認するとオレもみかんの皮剥きを再開する。付けっぱなしにしているテレビは今日が2日でも相変わらず正月ムードだ。冷蔵庫から昨日の余りのおせち料理を取り出すとそれを見たバーバラの目が輝く。そんなバーバラに年賀状全部書き終わったらな、と言うと凄い勢いで書き始めた。なんというか、単純だ。


「よっし!書き終えたー!友達多すぎるのも考えもんだー。いただきまーす」


バーバラがすぐさま焼き豚やかまぼこ、伊達巻を平らげていく。そんなバーバラに暖めておいたお雑煮を渡すとバーバラが嬉しそうにへにゃり、と柔らかく笑った。


「ホント、レックはいいお嫁さんになれるよ。あたしなんて料理全然ダメだし。」
「バーバラが殺人料理するからオレも料理作るようになったしなぁ。バーバラじゃなくてミレーユが彼女だったらオレも料理なんて上手くならなかったよ」
「……………」
「なんだよ」


お雑煮を食べる手を止めてバーバラがジトーっとオレを見る。なんかオレ、地雷でも踏んだかな。


「どうせあたしはミレーユみたいに女子力ありませんよーだ。」
「いきなりなんだよ」
「ほんっと鈍感。なんで人が気にしてるところをわざわざ言うかなぁ。」


鈍感だ、とはよく言われるが何度言われても慣れる気はなく、オレは眉を真ん中に寄せる。あぁ、でもここで下手に言い返すと喧嘩になる。ここはオレが折れるしかない。新年早々喧嘩が勃発なんて洒落にならない。


「悪かったって。機嫌直せよ。な?」
「じゃあ、思いっきり甘えさせてくれたらいいよ!」


頬をぷくーっと膨らませていたバーバラがオレの言葉を聞くなりパッと笑顔になって目が輝き出す。やっぱり笑顔の方がバーバラらしくていいな、と思いつつ、腕を広げてやるとバーバラが直ぐ様飛び付いてきた。バーバラの柔らかい体を抱き締めながらリモコンを手に取り、付けっぱなしにしていたテレビを消す。
バーバラの唇に触れるだけのキスをしてそのまま床に押し倒す。そして、何度もキスを繰り返すと自然とそういう雰囲気になる。事実もう自分の身体が反応してしまっている。バーバラもそれが分かったのか顔を真っ赤にしていた。


「えーっと、こういうのって姫始めって言うんだっけ」
「…レックってば新年早々、発情するなんて…」
「う、うるさい!仕方ないだろ、そういうお年頃なんだから」
「お年頃って…」


バーバラが呆れながらも嫌がってないことに安堵しつつ、自分でもちょっと呆れてる。仕方ない。可愛い恋人が甘えたいなんて言うから、なんて自分の中で言い訳してまたキスをした。





title*HENCE
(20150106)



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