きみのえがお





「いったーい!!」


テリーの剣によって吹き飛ばされ、あたしはドンと鈍い音を上げて尻餅をついた。


「やっぱりお前には剣、向いてねーよ」


呆れた表情でテリーは剣を鞘に仕舞うといたたと尻をさすっているあたしに手を伸ばし、そのまま引き上げてくれた。

「大体魔法戦士になるための繋ぎだろ?何もオレに頼んで剣の鍛錬しなくてもいいだろ」

「うーん、とは言ってもさぁ、今回の職業が戦士だし…、やるからにはきっちりとやりたいし」


戦士の職業をやるなら剣を少しでも扱えればいいと思って剣技の達人であるテリーにこの鍛錬を頼んだわけだけどあたしにはやっぱり剣にとことん向いていないようでこんな有様。


「うぅ〜悔しい〜!!!!」


せっかくテリーに引き上げてもらったのにあたしは地面にそのまま寝そべった。手を繋いだままのテリーもそのままあたしの上に倒れこんできた。
テリーがあたしの胸の上で何やら抗議の声をあげてるし、少し重いけど何だかんだ楽しくなってきてあたしはくすくすと笑い声を上げた。


「疲れたからちょっと休憩!」
「ほんとお前ってやつは…」

テリーは赤くなった顔であたしに睨みつけてくる。テリーのこういう年相応の顔を見るのがあたしはたまらなく好きでもう一度テリーの顔をあたしの胸に押し付けた。


「そ〜れ〜ぱふぱふ〜!」
「お前のまな板な胸じゃ意味ねぇよ!」
「あ、ひどい〜!!!」


そんなやりとりをしていると夜ご飯が出来たことを伝えるレックの声が聞こえてきた。


「テリー!ご飯だよ!あたし、もうお腹ぺこぺこ〜!早く行こう!」
「はいはい」


あたしはメタルキングもびっくりな速さで立ち上がるとまだ地面に座っているテリーに向かって手を伸ばした。
テリーはいつもの皮肉めいた笑顔ではなく、優しい笑顔であたしの手を受け取った。


(20171011)



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