セクハラ禁止!
*テリバの日記念
*キャラ崩壊注意
最近なんか変だ。
テリーの表情が柔らかくなったって言えばいいとかな。無表情を貫いてポーカーフェイスを気取っていた彼はここ最近でころころと表情を変えるようになった。考えてみれば喋り方も優しくなったような。
「それはきっとバーバラのおかげね」
「へ?あ、あたし?」
「あの子、バーバラやレックと話している時が一番楽しそうで年相応に見えるの」
「それを言ったらあたしだけのおかげじゃなくてレックのおかげでもあるってば。それにハッサンやチャモロ、ミレーユ、仲間全員のおかげじゃない?」
「それもそうね」
やっぱり仲間っていい、と頷いているとたまたま後ろを通りかかったレックに一番の功労者はバーバラだなと言われた。
「そ、そう?」
「テリーさ、バーバラを見てる時の顔がめちゃくちゃ優しくてさ、愛おしいものを見る顔だね。ぜってー惚れてる!」
「ほ、惚れてる!?って、え、えっと…」
テリーほどのイケメンに好かれるのは悪い気はしないけど流石にそれはあり得ないだろう、レックの言い過ぎだと自分を戒める。じゃないとニヤニヤしちゃいそうになる。
「確かにテリーはバーバラに恋してるわね、あれは」
「み、ミレーユまで!」
「だよなぁ!バーバラはぶっちゃけテリーのことどう思ってんの?」
「え、えぇー!?えっと、うー、仲間としては大好きだけど…」
テリーのことをそんな風に見たことはなかった。
イケメンだなとは思うし、好かれてるって言われたら凄く嬉しい。
「わかんないや」
あたしにはまだ恋愛なんて早いし、まだこのままでいい。
(どうせみんなとずっと一緒にはいられない。恋愛なんてしてられない)
***
野宿してると寝苦しくてたまに起きてしまう。
そんなときは星を見ると落ち着く。
あたしはいつものように仲間から少し離れたところに行くと見慣れた銀髪が目に入った。
邪魔しちゃいけないとは思いつつもあまりの儚さ、美しさに息をするのを忘れたかのように見ていた。
「バーバラ?」
「や、やっほー!テリーも寝れないのっ?」
「あぁ。お前も座れよ」
「う、うん」
大きめの岩にテリーは座っていたけれど2人座るにはその、かなり密着して座らないと滑り落ちそうだ。
「お、おじゃましまーす」
肩が触れ合うだけでビクッとしてしまう。
あたしだけめちゃくちゃ意識しちゃってる。
(もー!ミレーユとレックのせいだー!)
テリーがあたしのこと好きとか言うから変に意識しちゃうじゃん!
心臓の音がテリーに聞こえちゃいそうで少し離れようと動くとずるっと滑りかけた。
「わわっ!」
「あぶね…」
滑りかけたあたしの体をテリーが左手で引き寄せてくれた。腰に回された左腕は見かけによらずたくましくて何だか落ち着かない。
「も、もう!大丈夫だから!離して!」
「ほんとか?」
「ほんとだってば!ていうか!顔近いってば!」
テリーはあたしの耳元で喋るからもう色々やばい。この体勢もヤバイし、テリーの手もヤバイし、あたしの心臓もヤバイし、とにかく全てヤバイ!
「なに照れてんだよ」
「照れてないから!」
テリーがふっと笑ってあたしの髪を優しく撫でる。いつも喧嘩っていうか言い争いみたいなのしてたのに最近妙にテリーが優しいから本当に訳がわからない。
「テリーってほんと女慣れしてるよね!次のターゲットはあたし?」
「どうかな」
「否定ぐらいしなさいよ、バカ」
テリーが楽しそうにあたしの首元に顔を埋めてくつくつと笑う。
「バーバラ」
「なぁに?」
「お前は俺が守るから」
「なによ、いきなり」
「お前みたいにうるさいやついないと調子狂うからな」
「この前と逆なこと言ってない?」
「そうだったか?」
「うん。それにいきなり守るとか言われても反応に困るっていうか…」
「…………」
「な、なによ…?」
「鈍感なやつ」
テリーはそう呟くとあたしの体を更に抱き寄せて強く抱きついてくる。
「ちょ、ちょっと!セクハラー!セクハラだってば!それ!」
「ちょっと黙れ」
「むぐっ…」
テリーの肩にあたしの顔面が強くぶつけられる。
そこは唇で止めるとこ…って何考えんのよ!あたし!
じたばたと暴れてようやく顔が解放されるとテリーに不細工な顔と笑われる。
「どうせミレーユに比べたら不細工ですよーだ!」
「俺は好きだけどな」
「自分より綺麗な顔の男に言われても何も響きませーん!」
「拗ねるなよ」
「拗ねてないもん」
頬を引っ張られる。ほんと、テリーが何をしたいのか全くわからない。
「バーバラ」
「ん…?」
テリーの顔が近づいてきてその、あたしの唇に…ってダメダメ!!
テリーの顔を手で押しのけて逃げる。
「ば、バカ!スケベ!変態!」
「お、おい!」
走って逃げる。危なかった、あのままじゃテリーにき、き、ききキスされるとこだった!
***
「テリーおはよう!」
「レックか…」
「どうした?」
「バーバラにフラれた」
「え、」
(20161008)
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