テリバ没話
切ないお話。テリー視点。
:


「テリーはさ、消えてしまいたいって思ったことある?」
「そんなの、何度もあった。」


唯一の肉親である姉を失ってから何度も消えてしまいたいと、死にたいと願ったのは一度や二度ではない。姉が生きているかもしれない、という希望と強くなるという目的があったからこうして自分は今でもこの世界に存在しているのだろう。


「そっか、あたしはないよ。でも…、」
「でも、なんだ?」

バーバラが少し俯く。


「消えてしまえたら楽なんだろうなー。」
「消えるのか」
「消えないよっ、ただ見えなくなるだけで…死んだわけでも、二度と会えなくなるわけじゃないわ!」


バーバラは風に靡いている自分の髪を抑えつけながらニッと笑ってそう行った。


「それはレックに言ってやれ。あいつ、悩んでるだろ」
「大丈夫。レックは絶対に、世界を救うよ。」
「オレがレックだったら絶対に救わないけどな」


ポツリと呟けばバーバラが瞳を大きく見開いて驚愕の表情を浮かべた。
それが何故か嬉しく感じてオレは更に言葉を続けた。


「お前が望むなら一緒に逃げてやってもいいぜ?」


デスタムーアを倒すのにバーバラのマダンテは必要不可欠なはずだ。そのバーバラとオレが逃げてしまえばオレとバーバラはずっとこの世界で一緒にいられるんだ。


「悪いけど、その申し出は断るっ!」
「…はは、そう、だよな」


先ほどの興奮が嘘のように心が急速に冷えていく。


「あたし、この世界が大好きだから逃げるわけにはいかないのよね!だから、ごめん。」
「お前は、馬鹿だな。本当に馬鹿だ」
「むっ!失礼なっ!あたしから言わせてみればテリーの方が馬鹿よ。だって、レックや皆はあたしのマダンテがなくたって絶対にデスタムーアに勝てるんだから逃げたって無駄だもの」


なんでそんなに、強がるのだろう。
泣きたいのなら泣いてしまえばいいのに。





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