エッグベアの爪を剥ぎ、ハルルの樹を復活させることに成功した。というかカロル先生が可愛すぎて私の心中は穏やかではありません。



「アスピオ?いってらっしゃーい。」

「ええっ、マリーは一緒に来ないの!?」

「ええっ、一緒に行って欲しいの!?」


あまりのカロルの可愛らしい発言に聞き返してしまった。やばい、どうやら私にはショタコンの気もあるらしい。可愛いよカロル可愛い、んもう可愛いカロルが悪い。…てことでカロルに思い切りはーぐっ!

ふっふっふ、一応これでもおっぱいあるからね!お姉さんがぱふぱふしてあげよう!

むぎゅりと抱き締めてたら最初こそ抵抗したものの、カロルはおとなしく私の腕のなかもとい胸の中。おずおずと私の背中に腕を回してくるショタの可愛いこと可愛いこと…。

しかしそんな至福の時間もユーリによって阻まれた。


「こーらカロル、そんなことしてたら殺されるぞ。」

「あ、ちょっとユーリ!」

「マリーも、いい加減にしとけ。」


カロルは頭をぽかりと叩かれ、私には溜め息が吐かれた。ユーリに。ちくしょう、私とカロルのイチャラブタイムは大悪党によって邪魔されてしまった。

仕方ないとカロルを解放してあげて、軽く伸びをする。


「多分フレンのことだから、ハルルの樹の様子を見にまた来るでしょ。だから私は少し待ってみるよ。あ、でもアスピオの帰り道にちゃんと私を拾ってってね?あと、エステルのことお願いしまーす。」


はいはい、と呆れた様子のユーリと、手を振ってくれるエステルカロル、尻尾を振ってくれるラピちゃんを見送り、私はハルルに留まった。





見送ってから僅か数日、騎士団を引き連れたフレンが、ハルルにやってきた。そのことを知らせてくれた宿屋の人に感謝!

私はそのまま宿屋を飛び出し、フレンを目指して走った。


「ふれぇぇぇぇええぇぇん!!」

「…マリーっ!」


予想外だったのか目を見開いているフレンにそのまま抱き付いた。ああ久しぶりのフレンだ、相変わらず鎧のせいで抱き心地最悪だなこのやろー。まあそんなの関係ねぇとばかりにフレンの逞しい胸板にすりすり。後ろに控える猫みたいな目をした御姉さんが凄い剣幕で睨み付けてきてるとか知らない。フレンは私の幼馴染みなんだもん。独占権は私にある!


「まあまあ立ち話もなんですしちょっとお茶でも飲んで行きましょうや」

「え、あちょっと…マリーっ、」


私に腕を引かれながらぽかーんとする騎士団へと指示を飛ばすフレンはかっこいい、素直にそう思った。

とりあえず、近場のカフェへと入り、ココアを注文。うん、おいしい。


「会いたかったなー会いたかったよーフレーン。」


思わず頬が緩んでしまう、だって大好きな幼馴染みにして同じ騎士団に所属しているのだ。入隊歴で言えば私の方が長いけど、年齢的にはフレンの方がずっと歳上だ。私からしてみたら頼れる御兄ちゃんなのだ、それにかっこいいし。


「ところで、何でマリーが此処に?エステリーゼ様は一緒じゃないのかい?」

「んとねー、愛しのエステリーゼ様はユーリと一緒にアスピオに行ったよ。すれ違わなかった?」

「愛し…って―――…はぁ、すれ違わなかったな。」

「あらまー、残念。そだ、折角だから旅の話でもしようか。」


そこからは、身ぶり手振りで話をした。エステルは意外と強いこと、デイドン砦でカウフマンに会ったこと、そこで少し足止めを喰らったこと、呪いの森を抜けたこと、そこでカロルと名乗る少年と会って、ハルルの樹を治すためにパナシーアボトルを合成したこと、カロルが可愛くて生きるのが辛いこと。

終始にこにこと私の話を聞いてくれているフレンに、ああそうだと思い出したように立てていた人差し指を揺らした


「あのね、呪いの森でユーリとちゅうしたんだよー。」


瞬間、フレンが持っていたグラスを落としそうになる。心なしか笑顔のまま表情が固まっているようにも見えた。

どうしたの?と身を乗り出してフレンの顔を覗き込む。……ってあれ、何かフレン怒ってる?
もしかして私がユーリにちゅうされたから?そっかそっか、羨ましかったんだねフレン。フレンもユーリにちゅうされたかったんだね御免よ抜け駆けしてしまったよ。


「―…ユーリに手紙を書くから、渡して欲しい。」

「ん?うん、それくらいお安いご用だよ。」


ありがとう、とお礼を言ったフレンは、今この場に手紙を書く道具が無い為、明日渡すね。とだけ言った。
というかさ、今晩私が泊まってる宿屋でフレン泊まるんだよね?てことはさ、フレン私と同じ部屋に泊まれば良くない?うわ、やばい私妙案過ぎる。









誰が為の我儘
(いざ行かん)
(二人の愛の巣へ!)







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