あ、うん、機械むつかしいよね、うん。

 衝撃の事実。
「なみも機械オンチな自信あったけど、白廉は機械オンチってレベルじゃないね……。」
 携帯買って操作方法説明してるだけで、店を出た頃には真っ暗になっちゃいました。
「すまない……ずいぶん時間をとってしまったな…。」
「いや、それはいーんだけどね。」
 だって、白廉と長く一緒に入れるってことだからね!
 ちなみに、今日白廉が買ったのは僕と同じ機種のスマホ。ガラケーの方が簡単かなとも思ったんだけど、よくよく考えたらそうじゃないよね。ガラケーはボタンたくさんでぐるぐるするし画面見づらいし。それに白廉はまだパソコンは慣れてる方(とはいってもメールしか使ってないらしい)だから、それと見た目似てるスマホの方が安心するらしい。あと、同じ機種なら僕も教えやすいからね。
「ああそうだ。今お前がいるうちに電話をかけてもいいか?」
「いいけど誰に?ケータイいまなみの連絡先しか入れてないよ?」
「ああ、パソコンのメールの時もだが、連絡先などの使い方がわからず、全て覚えていたのだ。」
 なんでそんなに記憶力いいのに機械ダメなの?
 それから、電話ごときで数分かかって、やっとこさキーパッドを開けて電話をはじめた。
 ……っていうか誰にかけたんだろ?叔父さん?中学のお友達?まさか、彼女?!?!気になりすぎて森になるからこっそり聞き耳たててみる。
 ちょっと長めのコールの後、どうやら相手が出たらしかった。
「お、ああ、俺だ。電話を買ったので練習にかけた。」
[……オレオレ詐欺に引っかかるような私と思うなよ。]
 ブチッ。
 …数秒の沈黙の後、無言でかけ直した(これにも数分)。
[しつけーよ着拒してやろうか]
「お前実は気づいてるだろ。俺だ。あー白廉だ。」
[なぁんだ白いのかよー先言えよー。]
 白いのって?っていうか電話の相手女の子の声だけどだれっ?!?!
[ってか電話かえたの?家電って変えたら番号も変わるんだっけ?]
「いや、携帯電話だ。」
 …また数秒の沈黙。
[…………っはぁああぁ?!]
「いやまて、そんなに驚くことか??」
[驚くわ!パソコンメール使うのに3年かかった上、券売機もろくに使えない奴が携帯持つとか、おまっ、大冒険だったねぇ、がんばったねぇ。]
「お前馬鹿にしているだろ。」
[してる。]
 か、軽口まで叩いちゃって…親密そう……だれだろ……ガールフレンドかなぁ……。
 僕がそわそわしてるのに気づいたのか、白廉がこっちを見た。
「あ今話しているのは、中学の同級生で、俺にパソコンメールなどを教えてくれた奴だ。」
「声から察するに、女の子?」
「ああ。」
 ううっ、白廉は女慣れしてないと踏んでたけど……。いやまだ、まだ彼女と決まったわけじゃない!
 僕はできる限り茶化すような表情を作って言った。
「彼女?!」
[「無いな。」]
 電話の向こうからも否定が聞こえた。
[やっぱり白いの一人で買ったんじゃないんだね。]
「当然だろう。俺一人で買えるわけがない。」
[胸を張るな胸を。んじゃあ代わってよ。]
 白廉の女友達とお話しするチャンス?!
「まあ構わないが……変なことは話すなよ。」
[大丈夫だよ多分。]
「絶対と言えよ。」
 というわけで代わってもらった。
「あもしもし〜」
[あぁどうも〜。八江の中学の同級生の、笹原利堵ともうします〜機械の師匠です〜。]
 近所のおばちゃんみたいな話し方をされた。
[あこの話し方めんどいんでタメでいいですか?同級生でしょ?]
「うえぇっ、ああうん大丈夫だよ。」
 急に声のトーンが下がってびっくりした。
「っあ!なみは白廉の高校最初のお友達の沢本南のなみちゃんです。」
[高校の友達?あいつ男子校じゃなかったっけ?]
「ふふーん。あとでなみと白廉のツーショットの写真送るからそれ見ればわかるよ。」
[…見なくても何と無く把握したけど期待してるわ。]
 と話が終わりかけたところで利堵ちゃんが慌て出した。
[違うわ自己紹介だけが目的じゃなかったんよ。]
「なあに?」
[うん、もう把握してるとは思うけど、この機械オンチレベルカンストしてるアナログ人間をどうかよろしくお願いしますって話。]
「お前は俺の保護者か。」
 横から白廉のツッコミが入った。
[保護者ってよりもめんどい案件を片付けたいんだよ。まあまず手始めになみちゃんのメアドおせーて。白廉がものわかり悪すぎて手に負えなくなったらヘルプしてくれれば。]
「うん……。アドレスを口で言えばいいかな。えっとねえ……」
 別にメアド教えることは抵抗無いんだけど、利堵ちゃんと白廉の距離感がやっぱり気になる。
「も、もいっかい確認するけど、恋人になる予定も無いんだよね?」
[なに脈絡もなく。まあいいけど。私と白いのは恋人になる可能性もないからね。考えたくもねーよ。]
 うっ、確かに安心はするけど、白廉は両物件なのに……ともやっともしちゃった。
[男女が仲良いだけでくっつけたがるんじゃねーよまったく……じゃ、なみちゃんにもう要件はない?]
「ないよー。」
 怒られちゃった。
[おけーじゃああとでメール送るから登録しといてね。またねー。っしゃあぁ面倒事項かたづい]
 ブチッ。
 ……ツーツーと鳴る音を聞きながら、少なくとも利堵ちゃんにその気はなさそうだなとホッとした。



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