抹茶とあんこはセットなイメージあるよね

 結局お買い物デートは断られて、ご飯食べた後携帯買いに行くだけになった。ちぇっ。
 そしてまずはドーナツ屋さんへ。白廉はオールドファッションとなんか抹茶のやつとメロンソーダを選んでた。メロンソーダの仲間はずれ感。
 ドーナツを食べながら、昨晩のメールの話を白廉の方から切り出された。
「で、心当たりは?」
「ない!」
 だよなぁ…とオールドファッションを齧りながら諦めていたように言った。いやまあ本当はあるんだけど…と言っちゃおうかどうしようかちょっと迷っちゃった。
「白廉も、なんか俺の予想では的なこと言ってたじゃん?」
「ああまあ…あるにはあるが、正しいかどうかはわからないぞ」
「いいから教えてよぅ」
 ちょっと傾いてる机をカタカタ言わせて催促してみる。
「わかった、わかったから揺らすなこぼれる」
 まだストローも差してないメロンソーダを手で押さえながら頭を叩かれた。
「で、予想って?」
「ああ、いやその前にちょっとした確認なのだが…」
 白廉は、僕を捕らえようとするみたいに身を乗り出した。
「お前、昨晩とほぼ同じものを小5の時に見に来たことがあるだろう」
「えっ」
 な、なんでばれてるの??!
「小5の時にもな、昨晩と同じように、妙に扱いやすい時が一度あったのだ。それをお前が見ているのだとすれば、昨晩のお前の落ち着きようも納得が行く。それで?」
「……はい、あります。黙っててすみません」
「やっぱりな」
 満足げな顔で、ストローも刺さずにメロンソーダを飲んだ。使わないならなんでストロー取ったんだろ。
「これで、お前が関係しているということはほぼ確定だろう」
「じゃあやっぱり、なみがいると落ち着くってこと?」
「そんな感じだな。もっと細かく言うと、お前の…なんていうかな、意識の向く方向とでも言おうか、それが俺に向いていればいるほど、俺はやりやすくなるのでは、と思ったのだ」
「えっなんで意識の向かう方向とかって話が出てきたの?」
「いや、実際にそういう例があるのだ。俺と同じ類の能力を持つ者で、相性がいいとできることもある。しかしそれでも確率は低いのに、全く無関係のお前ができるとは…。お前は幽霊や妖怪など、見たこともないだろ?」
「幽霊だと思ったら白廉だったことはあるよ」
「白いというだけでまとめるな」
 白廉は話しながらチビチビ食べて、やっと今半分まで食べ終わったところだ。僕はというと二個目にかぶりつきました。僕が早いんじゃないんだからね!白廉が遅いんだからね!!一口一口が小さすぎるよ!
「じゃあ今度からなみがそばにいたげないとね!」
「え、ああまあそれは確かに嬉しいが…やはり危険だろう」
「白廉強いから大丈夫だよ」
「強くともミスはする」
「そのミスを減らすためのなみでそ?」
「だが…いや、やめよう。堂々巡りだ」
 うーん断られそうだなぁ…いいもん。成り行きでむりやりついて行ってやるもん!ふーんだ。
 あんまり白廉が食べるの遅いから、手を伸ばしてドーナツ奪って、端っこを食べてやった。
 これで白廉が食べてくれたら間接キスだなぁ、なんてね。
 お返しになみのも食べていいよ、って言ったら、お腹が大きいからむしろもっと食べて欲しい位だ、って言われた。なみよりも白廉の方がたくさん食べた方がいいのに。でも残りのオールドファッション全部もらっちゃった。間接キスは片思いに終わりました。
 白廉はもう一つの抹茶の方を食べ始めた。と、すぐに何か喉に詰まらせたみたいになって、一気にソーダで口の中のものを流し込んじゃった。
 流し込んだ後も具合悪そうにしてたから、どうしたんだろうと思ってドーナツを見る。ドーナツの中身はあんこだった。
「…そんなに苦手なら確認しようよ」
「……うん」
 ぐったりさんな白廉のために、あんこがなくて甘さ控えめっぽいドーナツを奢ってあげました。


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