ごっめーん

 白廉はゆっくり歩いてくれてて、すぐに追いついた。下駄箱で靴を履き替えて、坂道をおりて行く。
「ねえ白廉。なんで叔父さんと髪の色違うの?」
 聞いてみると、また右斜め下向きにうつむいた。癖なのかな。
「俺は…その、あいつの、姉の息子なわけだが、俺自身は父親似でな。その関係ではないか?」
 へー。じゃパパさんは白髪なんだ。会ってみたいけど、なんとなく白廉のこの様子じゃあんまり進んで会わせなくはない感じな気がするんだ。すっごいアイマイだけど。多分だけど、あんまり身内のことを知られたくないのかもしれないな。
 話を変えるために時計を見た。現在時刻は12時46分。お昼だね。
「ねえ白廉。お昼ご飯の相談だけど、なにか食べたいものある?」
 僕お昼はパン派なんだけど、白廉は白米なイメージあるから、パンとかあんまり好きくないかも。
「んー…特に無いな」
「そう?じゃあ洋風とか和風とかイタリアンは?行ってみたい店とか」
「いや無い。外食はあまりしなくてな、詳しくないのだ。お前が決めていい」
 うーんそのオマカセってのが一番困るんだよー。にしても、やっぱりっていうかなんていうか、外食しないんだ。
「うーーーーーんっと。好きなものと嫌いなものとかは?」
 とりあえず候補を絞ってみよう。
「あんこが嫌いで瓶ラムネが好き」
「ご飯じゃないじゃん」
 あでも、
「あんこ嫌いってことは、じゃあ甘いものとか嫌いなの?」
 そう、甘党かどうかは大事だよ。なにしろ、恋する乙女には二月にあまーい大イベントがありますからな!その時になって情報収集したって遅いんだから!乙女以前にお前男だろってツッコミした子は廊下に立ってなさい。
「いや、甘いものは特別嫌いではないが、あんこがダメなのだ」
「そうなの?チョコとかはオッケー?」
「おっけー」
 よぅしおーけーおーけー。そこさえ確保すれば後はよし。でも一応量は控えておこっかな。
「で、ラムネじゃなくて瓶ラムネなのはなんで?ベットボトルラムネとかサイダーとかじゃダメなの?」
「ああ。炭酸は普通に好きだが、瓶ラムネはあの瓶で球をコロコロするが楽しい」
 意外に子供な理由だった!
 とまあひとしきり情報収集したところで、お昼ご飯が決まったわけじゃない。
「んー、ドーナツなんてご飯とも言えないようなんじゃダメだよね。白廉いっぱい食べそうだもんね」
「いや、そうでもないぞ。俺は最悪昼飯抜きでも平気だ」
 えっ?
「ダメだよ!遠慮しなくていいんだからさ!よく食べよく遊びよく寝ないと背も大きくならないよ?!」
「うっ、五月蝿い、身長のことは言うな。遠慮などではなく、もともとあまり食べないのだ」
「ええー?15歳とか食べ盛りでしょ?!なに?ダイエット?ダイエットなの?!」
 僕はよくしてるけどね。痩せるには食事制限じゃなくて運動しなさいとかはよく言われるけど、運動したら筋肉ついちゃってゴツゴツしそうなんだもんヤダー。
「わかった、わかったちゃんと食うから。で?ドーナツ屋か?」
「うん。今日は確かほとんどが100円(税抜き)になる日だったから、どうかなーと思ったんだけど、いい?」
「ああ構わない」
 と言いながら白廉は財布の中身を見ていた。
「飯の後、携帯も見に行くのか?それなら金を下ろしてきたいのだが」
「別にいいけど、都合が悪ければ後日でもいいよ」
「いやいい。今日は帰っても寝るだけだ」
 そっか、なんもないんだ。じゃ、じゃあ出来れば夕暮れごろまで一緒にいたいなーなんて。でも用事がなかったら白廉ちゃっちゃと帰っちゃいそうだし…。
「ね、ねえねえ、今日ずっと空いてるんだったらさ、お買い物とか一緒に行かない?」
「買い物?なにを買うのだ?」
「えっと、お洋服とか?」
「一人で行けよ」
 うぐっ。
「いや、いやほら白廉のコーディネートとかしてあげるからさ!」
 白廉の服装はまっくろくろすけで、いくらフィルターかかった僕にもかっこいいとは思えない。まあ中身がかっこいいからいいんだけどさ。
 ん?なんで白廉の私服がわかるか?だって今私服じゃん?え?あ、制服じゃないようちの学校。うん私服高。あれ言ってなかったっけ?ごっめーん。


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