「あ!なまえだ!」
「透太!久しぶりー」


彼の家の扉を開けると、真っ先に彼の弟が飛びついてきた。しばらく彼の家には来てなかったから、透太に会うのは久しぶりで。


「遊ぼ遊ぼ!」
「ん、いいけど…ちょっとだけだよ?今日はお兄ちゃんに会いに来てるから」


軽く頭に手を乗せると、透太は満面の笑みで頷いた。





しばらくすると遊び疲れたのか、透太はソファーの上でぐっすりと寝息を立てていた。


「寝ちゃった」
「ごめんなー、迷惑かけちゃって」


彼は申し訳なさそうに笑って、グラスに入った飲み物を私に手渡し、机を挟んで向こう側に座った。


「ありがと!迷惑だなんて思ってないよ、透太可愛いもん」


私はグラスを掲げてお礼を言うと、眠っている透太に目線を向ける。無防備に眠っている姿を見て自然と口元が緩んだ。


「やっぱり翔太に似てるよね」
「そうなの?自分じゃわかんないけど」
「似てる似てる!ミニチュアの翔太みたい」


首を傾げる彼を横目に、透太の頬に唇を落とした。


「あぁッ!」


ガタン、と音を立てて驚いた彼に、私はくすくすと笑いながら彼の隣に腰掛ける。


「びっくりした?」
「びっくり、っていうか、!」




「お兄ちゃんには、こっち」



そう言って私は唇を彼のそれに重ねる。突然の出来事に目を見開いている彼に、私はケラケラと笑った。



すぐそばにある小さな幸せ


「俺まで子供扱いすんな!」
「こんなんで真っ赤になってる翔太はまだまだ子供だね!」




TITLE:Alstroemeria



(2010.06.08)

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