「あ!なまえだ!」
「透太!久しぶりー」
彼の家の扉を開けると、真っ先に彼の弟が飛びついてきた。しばらく彼の家には来てなかったから、透太に会うのは久しぶりで。
「遊ぼ遊ぼ!」
「ん、いいけど…ちょっとだけだよ?今日はお兄ちゃんに会いに来てるから」
軽く頭に手を乗せると、透太は満面の笑みで頷いた。
◇
しばらくすると遊び疲れたのか、透太はソファーの上でぐっすりと寝息を立てていた。
「寝ちゃった」
「ごめんなー、迷惑かけちゃって」
彼は申し訳なさそうに笑って、グラスに入った飲み物を私に手渡し、机を挟んで向こう側に座った。
「ありがと!迷惑だなんて思ってないよ、透太可愛いもん」
私はグラスを掲げてお礼を言うと、眠っている透太に目線を向ける。無防備に眠っている姿を見て自然と口元が緩んだ。
「やっぱり翔太に似てるよね」
「そうなの?自分じゃわかんないけど」
「似てる似てる!ミニチュアの翔太みたい」
首を傾げる彼を横目に、透太の頬に唇を落とした。
「あぁッ!」
ガタン、と音を立てて驚いた彼に、私はくすくすと笑いながら彼の隣に腰掛ける。
「びっくりした?」
「びっくり、っていうか、!」
「お兄ちゃんには、こっち」
そう言って私は唇を彼のそれに重ねる。突然の出来事に目を見開いている彼に、私はケラケラと笑った。
すぐそばにある小さな幸せ「俺まで子供扱いすんな!」
「こんなんで真っ赤になってる翔太はまだまだ子供だね!」
TITLE:Alstroemeria
(2010.06.08)
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