「ごめん翔太っ!委員会終わっ…」
走って教室に入ると机に突っ伏して寝ている彼がいた。今日は放課後に私の委員会があったから、終わるまで教室で待っててくれる約束をしていたんだけれど。
「しょーた」
「んー…」
名前を呼んでも起きる気配はない。ちょっとした悪戯心から彼の頬に触れてみる。
「んう…」
まだ目が覚める様子はなさそうだから、彼の瞼に唇で触れる。
「しょーた?」
「あぁ…あ、なまえ!俺寝てた?」
「うん、ぐっすり」
笑ってそう言うと彼は申し訳なさそうな顔をした。
「てかなまえ、俺に何かした?」
「え、なんにも!」
「絶対なんかしただろ!」
ニヤつきながら答えると、嘘だと見破ったのか彼は私の髪の毛をわしゃわしゃと掻いた。彼が手を止めると至近距離で目が合う。
「あっ…」
しばらく目が合って恥ずかしくなり目を逸らす。でも彼の手はまだ私の頭にあるままで。ゆっくり近づく彼の顔に目を閉じると瞼に唇が当たった。
「翔太…さっき起きてたの?」
「うん」
「ひどーいっ!」
満面の笑顔で笑う彼はかなり楽しそう。
「もう一回してよ。今度は、ここ」
「や、やだよっ!」
「そう?じゃあ俺から」
爽やかに笑う彼の唇が、私の唇に重なった。
奪われるものファーストキスはやっぱり貴方からがよかったの。
(2010.04.03)
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