「龍!」
「あ、なまえ」
「ランニング中?」


河原でばったりと会った彼に問い掛けると、彼はコクリと頷いた。


「お疲れ様。時間あるなら座らない?」
「あぁ」


そう言って2人並んで腰掛ける。


「部活、どう?」
「いつも通り」
「あはは、そっか!」


彼の右手を手に取って掌を見つめた。その手は私の手より遥かに大きくて豆だらけ。スッと自分の左手と彼の右手を絡める。


「ふふ、」


彼を見上げると、優しく微笑んで頭を撫でてくれた。目が合って、自然と唇が重なる。


「龍…」


その時、ポスッと彼の帽子が被せられた。見上げようとすると帽子を深く被せられて押さえ込まれてしまう。


「ん?」
「今、こっちみないで」
「えーっ…」


しょうがないから手探りで彼の顔を触ってみると、かなり熱くて。


「龍のほっぺ熱いよ」
「……」
「自分からキスしといて照れてるの?それズルい!」


ふに、と彼のほっぺをつねる。彼の手が緩んだ隙に顔を上げて顔を見ればやっぱり少し赤くて笑ってしまった。
今度は私から唇を重ねて、帽子を彼の頭に乗せる。



視線お預け!



「仕返し!」



(2010.04.03)
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