「すいませーん!宗一呼んでもらってもいいですか?」
「宗一?」
「あっ、ジョーです。城ノ内宗一」


放課後の教室で中を覗きながら問い掛ける。その人はジョーでやっとわかったのか、彼を呼んでくれた。


「あれーなまえどうしたの?」
「ん?フラれたって聞いて!今日一緒に帰れる?」
「今日は大丈夫!もう行く?」


軽く頷くと、鞄取って来る!と教室の中に戻って言った。



「今日はなんで一緒?」
「フラれたんでしょ?話、聞こうと思って」
「そうなんだよ、誰も聞いてくれないんだよー」


軽く涙目になりながら彼は話し出す。彼とは小さい頃から一緒で幼なじみみたいなもの。


「えっ、聞いてた?」
「あぁ…うん」
「なまえまで聞いてくれないのかよー」


彼は拗ねた声色で言うと話を続けた。私は小さい頃から彼が好きでずっと片想いしている。自分から話を聞いておきながら、この話題が辛くなって。


「宗一はさ、本当にその人が好きなんだよね?」
「へ?」
「だから告白、したんだもんね」


なんでそんな質問してしまったのかはわからない。この答え次第では失恋のダメージが大きくなるだけなのに。


「そう言われると…わかんないんだよなー」
「はっ?」
「好き、ってなによ?」


マヌケな顔してそんな質問されたらため息しか出ない。


「好きっていうのは…一日中その人のこと考えちゃってて、会いたくて会いたくて仕方なくって…」
「あ、じゃー違うのかも」


こんな無責任なことはない。女の子に告白までして好きじゃなかった、なんて。
…でも嬉しくないと言ったら嘘になってしまう。


「ばっかじゃないの?」
「あ、でも一日中考えちゃう子ならいるか」


彼はふと気づいたように手を叩いた。


「なまえだけどね」


彼はヘラヘラと笑いながら言った。


「それは私が好きって意味なの?」
「え?」
「私は今日失恋してない、って思ってもいいの?」
「え?失恋?なまえが?」


少し顔をしかめて問い掛ける彼は私が言った意味なんて全く分かってくれない。


「だから、宗一が好きだって言ってるの!」
「えっ?俺を?」


真っ赤になった顔を押さえながらついに言ってしまった。



片恋ドキュメンタリー



「俺も好きなのかも…」
「え、成就したの、これ?」



(2010.04.02)
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