Trick or Treat?
「……ッ」
息を詰める、僅かな呼吸が聞こえた。
埋めた指先を動かすとその息は次第に乱れ、こちらに向けられた無防備な背中が小刻みに震えてくる。
片手で広げるように白い尻を掴むと、それだけでビクンッと細い身体が跳ねた。
「……早いな?」
「う、るさッ……ぁッ」
小さなビニールの中に入っていた丸い飴玉を摘まみあげ、広げた内壁の中へと押しこむ。
表面の滑らかな飴は直径二センチもないため難なく入り込んでいった。
「う、……ッ気持ち悪、いッ」
「嘘つけ」
俺が笑うと、責めるような視線がこちらを向いた。
西は床に這うようにして腰を上げているから、相当首を捻らなければ俺の方は見られない。
そんな必死な訴えにも応えず、ビニールの中の飴玉を次々に押し込み指で掻き回していく。
狭い中でぶつかりあった飴が、カラコロと僅かな音を立てた。
「……これでアメは最後だな」
「は、……ッうそ、だろ……無理、それ……」
最後のざらざらとした表面の飴玉は、先程の倍くらいの大きさだった。
口の中に入れても余るだろう。何を考えてこんなモノ作るのかは判らないが、露天で売っている飴はこういうものが多いらしい。
嫌々と頭を横に振る西の腰を押さえつけ、赤く腫れたように口を開けている入口へとその飴を押し付ける。
「い、……ヤ、痛いッ……無理、和泉ッ!……イタ、ッ……」
「……」
直径四センチ程度の飴は、ザラメでもまぶしてあるのか酷く凸凹としていて、押し込もうとすると内壁を傷つけるらしい。
あまりに悲鳴を上げるからと飴玉を引くと、微かに血が付着していた。
「……表面が溶けるまで銜えてろ」
「ンッ……ッぐ、……!」
悲鳴と喘ぎを吐き出す唇へ、飴を押し込む。
涙を滲ませながら西は口を閉じようとして失敗し、強制的に開けられた唇の端から甘い匂いのする唾液が滴った。
フローリングの床は、既に西の精液や涙、唾液などで濡れている。
そこにはチョコレートやクリーム、メイプルシロップなどが混ざっていた。
先程まで、散々西の身体に塗りつけて遊んでいたものだ。
事の発端は、こいつが一人で作っていたチョコレートだった。
生チョコの作り方を聞いた、と西が器にチョコレートを入れて何やら色々とやっていた。
そういえばチョコ好きだったなこいつは、と思って暫く放っておいたら数分後、西は器とスプーンを持ってリビングに現れ、『チョコが分離した』と言い放った。
何を馬鹿なと思って見てみると、確かにスプーンで掻き回せば掻き回す程にチョコは分離していく。
何が起きたのかと台所を覗くと、それでも生チョコは小さな箱に一つ分だけ成功したらしく、ラップとココアパウダーに包まれた物体がテーブルに置かれていた。
一つ目を成功したから調子に乗って同じ様にした途端失敗したらしい。
『お前、洗ったスプーンよく拭かずに突っ込まなかったか』
『……』
黙り込む西を見て、俺は深いため息をついた。
原因は判ったが後のこの分離したチョコと余った板チョコが哀れだ。
『……』
『な、何だよ……責任もって食えばいいんだろ……』
拗ねたように目を逸らしてスプーンを銜える西を見て、俺はその器を取り上げた。
ニヤリと笑う俺の表情を見て、西の顔が瞬時に青ざめる。
『ハロウィンだとかで、また菓子押し付けられた。それも食わせてやるよ』
『……食うのは、別にいいけど』
ジリッ、と下がる西の腰を抱き上げバスルームに直行する。
手にした器の中のチョコレートは温めた直後らしく、じんわりと温かかった。手のひらでこの熱さなら、肌に落としても火傷はしないだろう。
まあ、皮膚の薄い部分に落とせばそれなりに熱いだろうが。
『い、和泉ッ……!』
『……これ、好きなんだろ?』
裸に剥いた西の身体に器を傾けると、濃厚な甘い香りと悲鳴のような嬌声が響いた。
バスルームで性器と乳首を熱いチョコまみれにさせ、真っ赤になるまで弄ると西は泣きながら何度も射精した。
こいつは本当にこういう刺激が好きなんだなと思う。
嗜虐性と被虐性両方を持っているから、こいつはこうなんだろう。
残虐な行為を見るのを好むということは、同時にそれをされている苦痛に想像力を働かせている事に他ならない。
痛み、苦しみをリアルに想像して興奮する西の性癖は、SでもМでもあると言う事だろうと俺は考えていた。
だから時折こうしてこいつの思いつく範囲の外から手を加えて、西の想像の快感を刺激してやる。
嫌だと言って泣くわりに身体は感じまくっているから、精神より深い部分に嗜好というのは存在するのかもしれない。
「んッ……ふ、ぁッ……」
コトン、と音がして飴玉がフローリングの上を転がった。
西の口から零れ落ちたそれを拾い上げ表面を眺めて確認してから、後ろへと押し込み栓の代わりにする。
「ァ……苦、し……ッ」
「よく入ったな。……空だ」
クラスの女子に押し付けられたビニールの袋を揺らしてやると、西の表情は泣きそうに歪んだ。
先程、入れる前にどれだけの飴があるかを見せていたから、こいつには押し込まれた量が判るはずだ。
「奥の方はもう溶けてんだろ?」
「な、……ッまだ、そん……ッああ!!」
入口に引っかかっている大きな飴をぐいぐい押しこむと、中で丸い飴玉がごろごろとぶつかり合う音がした。
それが内壁を刺激するのか、西は嬌声を上げて腰を揺らす。
「誘ってんのか?」
「ちがッ……手、放ッ……ヤ、あッ!」
フローリングについていた西の肘が滑って上半身が崩れ落ちた。
うつ伏せて腰だけを高く上げた姿勢で、華奢な背中がビクビクと震える。
「何だ、これだけでイッたのか」
ぽたぽたと床に滴る白濁を見て俺がからかうと、西の身体は羞恥で薄赤く染まった。
「飴玉で中擦られるのがそんなにイイか?」
嫌だというのを無視して、何度も同じ様に入口の飴を押し込む。
次第に熱で溶けてきたそれが中に飲み込まれていって、俺はそのまま奥まで指を突っ込んだ。
「ひ、……ッヤ、それ、嫌だッ……和泉ィ……ッや、あああッ!!」
指先で直接飴玉を掻き回すと、再び薄い白濁がぱたぱたと滴る。あまりの感じように苦笑して、俺は指を引き抜いた。
「随分コレが気に入ったみたいだな」
「い、……ずみ……?」
「……好きなんだろ?」
ひ、と息を飲むのを聞きながら俺はそのまま西の中へ性器を押し込んだ。ごつごつとしたものがぶつかったが、どれも小さい塊で大した抵抗ではない。
大きな塊は性器に押されて奥へと進んでいった。それが内壁を押し上げているらしく西は涙を溢れさせながら善がる。
チョコレートの熱で真っ赤に腫れていた乳首を指先で捻り上げると、中が強く締まって高い嬌声が上がった。
はくはくと短い呼吸を繰り返す唇から、甘い匂いが漂う。
「お前の全身が菓子みたいなもんだな……」
首筋に噛みつくとメイプルシロップの香りがした。
そういえば先程、あちこちにかけて遊んでいたものだ。
性器の先端にかけたせいか、暫く西が射精する度にこの匂いが漂っていた。
そのうち、甘い匂いを嗅ぐだけで西が発情するようになればいいと思う。こいつは甘いものが好きだから、それを断つことは絶対にできない。
なら、条件反射でこうしたくなるように仕向けて遊ぶのも面白いと思った。
「ン、……あ、ンッ……ヤッ」
「嫌じゃねぇクセに……」
快感に頬を染めて善がる西の身体を抱き上げ、自分の上へ座らせる。細い腰を持ち上げては落とし、揺さぶると中から女のように透明な液体が溢れてきた。
濡れた音を響かせる粘着質な液体が、また甘い香りを漂わせる。
「……西」
「ふ、あッ……んんッ、ふ、……んぅ、」
喘ぐ唇を塞ぐように口づけると、快感に蕩けた西の舌は甘いシロップと同じ味がした。
「……何これ。ずっと甘い匂いすんだけど……」
「そうだな」
「どうすんだよ!」
「洗ってやろうか?」
「……」
「奥まで湯入れて、何度か洗えば……」
「……」
「500ミリくらいのシリンジ買ってきてやろうか」
「ッ……。殺す気か」
「今、想像しただろ」
「してない!!」
「そうか? 腹がいっぱいになるほど湯入れられて、苦しくなんの想像したんだろ」
「……てないッ」
「さっきの飴玉と俺のが詰め込まれて溢れ出したのと……同じくらいになるんだろうな」
「ッ!……う、……」
「……西?」
「苦しいのは、ヤだ……」
「感じるのは好きだろ。……勃ってんじゃねぇか」
「……ッ触んな!」
「あんだけやって足りないのか」
「うるさいッ……和泉が変な事言うからだろ」
「ああ、……西、それ逆効果」
「はァ?」
「泣き顔見ると余計ヤりたくなるんだよな、……来いよ」
「泣いてねーし、……ッちょ、無理! もう無理だろ!」
「……」
「和泉!」
「……冗談だ」
「……」
「……たぶんな」
「たぶんって言うな!!」
END
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何だこれ?
ちなみにこのあとさっき作った生チョコ食べてその気になった西君を和泉が再び頂きます。
とりっくおあとりーと!って……悪戯が過ぎますねちょっとね……。
2011/10/31
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