金平糖を狙い撃て! | ナノ
深呼吸して心を落ち着けてからぐるりと辺りを見回すとそこは森の中だった。

何で。おかしい。

確かわたしはお菓子を買いに行こうと一番近くのコンビニを目指して歩いていたはずなのに。

「・・・迷った?」

ぽつり、そう呟いてまさかねと首を振る。
だって毎日通っている道にあるコンビニに向かうのに迷うなんて間抜けにも程がある。

それにわたしの家は所謂住宅地の中にあって、家は並んでいるけれど近くに木がたくさん並んでいる所なんてない。

何でここにいるんだろうと頭を捻っていると後ろの方から何かが近付いて来る音がした。
もしクマが出たんだったら、間違いなく死ぬ。
いつもの倍以上も早く動いている心臓の辺りをぎゅっと握って、物音がする方を見ていると不意に何かが現れた。

思わずびくりと肩を揺らす。けれど、実際現れたのはクマではなくて水色の髪のお兄さんだった。

それでも突然のことで固まるのは変わりなくて、がっちり目を合わせること約数秒。
わたしと同様に固まっていたお兄さんがゆっくり口を開いた。

「あー・・・あんた誰?」

一体誰だっけ、と名前を思い出すような顔をしながらこっちを見るお兄さんに慌てて返事をする。

「あ、ナマエです!初めまして、だと思います」

そう言うと「だと思ったんだよな、見たこと無かったし」なんて返ってきて、ああこの人物覚え悪いんだろうなあと確信した。
少しだけ呆れていたけれど、一番聞きたい事を思い出してお兄さんに訪ねる。

「あの、ここってどこですか?」

「ここ?」

「はい、気が付いたらここにいて、迷っちゃったみたいなんです」

お兄さんはちょっとだけビックリしたような顔をしてわたしを見た。

「ここはハッピーツリータウン。迷い込んできたのはあんたが初めてだよ」

今度はわたしがビックリする。
わたしが迷い込んできた初めての人ってこの町は一体何なんだろうか。

20121228
×
「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -