「グズマさん……やっぱり巨乳が好きなんだ……」
数日後。朝からこんなワードが飛び交う2番道路の普通の家。どうしてこうなったかと言うと。
「誰だ?こんな朝っぱらからよ」
寝起きのグズマはとりわけ機嫌がいいとは言えない。それに今日は約束していた日でもなかったはず。どうして呼び鈴が鳴るのか、寝ぼけた頭では理解できないまま扉を開けた。
「どうしたぁ?オレさまに会えなくて寂しくなっちまったかぁ!?」
「グズマさん……やっぱり巨乳が好きなんだ……」
「…………はぁ!?」
玄関口でいきなり何を言い出すのかとひとり焦ってしまった。ひとまず彼女を家にあげるも、同じ言葉を繰り返すばかりで。
「巨乳が好きなんでしょ……?だからあたしに何もしてくれないんだ……」
「……それとこれとは別だろうが!つーか誰がそんなこと言ったんだよ」
「したっぱさんが……」
男たるもの大きい胸に憧れるのは紛れもない事実で、それを否定するつもりはないが、好きな女がいればそれだけで価値はあるというもの。かなこにそう吹き込んだしたっぱが誰なのか大方検討はついている。
「…ならそう思ってろや。オレさまは別に、巨乳の女を彼女にしたいとか思ってるわけじゃねえ。そもそもそういう目的で女とつき合うようなクズな野郎じゃねえよ」
「え………」
今度は大きな目をぱちくりさせて驚いてる。女とは不思議な生き物だ。がしがしっと頭を撫でてやるとむくれながらも笑顔を向けてくれるかなこを、心から愛しいと思った。
「ほら。くだらないこと言ってんじゃねえよ、行くぜ」
「えっ、どこにですか?」
「決まってるだろ。ブッ壊してやるぜ!」
どうやら余計なスイッチを入れてしまったようだが、グズマの優しさに心がほっこり温かくなった。ハウオリシティでマラサダをたんまり買い込むと、雨の降りしきるポータウンへ飛んだ。