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「…マツブサ、さん」

そう呟くと久しぶり、だな…と彼なりの笑顔を見せてくれる。マツブサさんはキーストーンを奪われなかったから、きっとあの騒動は知らないはず。だからどこにいるかもわからなかったし、会えて良かった!

「ここに…、我々マグマ団のアジトがある。グラードンも…、かつてはここに眠っていたのだ」
「へえ…」

少しだけ、マグマ団のアジトにお邪魔する。中には本物のマグマ…ではないだろうけど、炎が焚かれていて、ちょっと熱い。

「キミには、少々熱いかもしれぬな」
「いえ…」

アオギリさんとは違って、知的で、古風な感じのするマツブサさん。初めは威嚇されたし、近寄りがたかったけど…、年下でも、ちゃんと認めてくれた事が嬉しかったり。

「わたしも近々…、バトルリゾートに顔を出そうと思っている」
「マツブサさんも、ですか!?何かみなさん、勢ぞろいですね!」

途端に嬉しくなってはしゃいでしまうと、キミはやはり何か、不思議な力を持っているな…そう言ってくれた。

「アオギリさんも、マツブサさんも、私が世界を救った事で何か、新たな気持ちになれたのなら、幸いです」

マツブサさんと握手を交わす。たまたま2つ見つけたのだ、とバクーダナイトをもらって、バトルリゾートでの再会を約束して別れた。あとでボックスにいるバクーダに持たせてあげよう。それからまた家に戻ると、今日は向こうに行きなさい、ってママに追い出された。

「眠い…ラティアス…枕になって…」

今思えば図々しい。でもラティアスは、すごくすごくお利口な子だから、私を包むように地面に横たわってくれる。ほんの少しだけ…そう思ってたのに、気づいたら深い眠りに…。


「…やっと帰れる」

こっちに戻ってきてから。ユウキくんが再戦に来るみたいで、四天王たちと共に待っているんだけど。ボクの部屋に来るのは、まだ先かな…のんきに茶でも飲んでいると。

「…なあダイゴ、ちょっといいか?」

カゲツ…?珍しいな、何かあったのか?けどその心配は…全く無用だったね…。

「何だい?カゲツ。用事でもあるのかい?」
「いやー、その…な?賭けてたんだ、おれたち四天王で」
「賭け…?」

ム、何か…、嫌な予感しかしない…。

「…んで、つまり、どーだったわけ?二人の婚前旅行は」

ん?婚前旅行…?何でそんなに飛躍しているんだ、まだボクたち結婚なんて……。

「嫌だなあ、カゲツ。ボクたちはつき合っているけど、まだそこまでは…」
「そうじゃねえな、じゃあ、ストレートに聞く。かなことヤっちまったわけ?」
「…っ!!」

…そう来たか。予感はしていたよ、予感は。ボクのカンは当たるからね…だから誤魔化そうとしたのに。

「…で?いくら賭けていたの?」

そう聞き返すと面白くなさそう。…ざまあみろ。


bkm
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