34
「ヒガナ…」

ずっと会いたかったのに…、言葉が出てこない。そんな私を見かねてか、ヒガナはゆっくりとこちらに歩いてきた。

「かなこ…久しぶりだね。元気だったかな?だったよね、きっと」

含んだ言い方をしているわりには、あの笑顔を絶やさない。何だかそれが嬉しくて…、少し涙が零れた。

「…ありがとう、かなこ。おかげでわたしは、自由になれたよ」
「うん…。良かった…」

何とかそれだけ言うと、いっちょ勝負しよっ!だってさ。…全くヒガナ、私の事なんかお構いなしだな。でもそれが、ヒガナらしいんだけど。

「うん!受けて立つよ、チャンピオンとして!」

ぎゅっとラティアスの入ったボールを握りしめると、私たちの3度目の勝負が始まる。独特なアンダースローから放たれたボールから繰り出されたのは、ボーマンダ。

「今日は1対1でいこうかね?どう?」
「うん…!それもいいかも…!」

ボーマンダvsラティアス。互いのポケモンをメガシンカさせて、本気の真剣勝負。

「「りゅうせいぐん!!」」

技が重なり、大量の隕石が周りに落ちる。そう、私は昨日…、ルネシティに行ってきた。

「りゅうせいぐん…確かわたしの家の近くに、技を教えてくれるベテラントレーナーがいたはずだ」

ミクリさんにそう言われて、ルネシティの北の方の民家を目指す。中にはいかにも!という雰囲気のおじいさんがいて、でもこのラティアス、よくなついておるの…とか言われながら、技を習得した。オダマキ博士から他地方のポケモンをもらって、家で寝泊まりして朝、ハジツゲタウンから歩いていると、ちょうどソライシ博士と出会った。

「ソライシ博士!お久しぶりです!」
「…かなこちゃん!その節は、お世話になったね、ありがとう」
「いえ…。結果、このホウエン地方が平和になったなら、何よりです」

博士と少しだけ話して、今、こうしてヒガナと勝負している。ボーッとしている私にどうした?とヒガナ。

「ごめん、大丈夫!始めよう!」
「「りゅうせいぐん!」」

またしても技が重なった。大きな音を立てて落ちたりゅうせいぐんは、ほぼ相打ちの形で決着がついた。

「はあ、はあ」
「いいねえ!かなこ。さすがだよ」

ギリギリのところで私のラティアスが勝った。それをわざとらしく褒めるとヒガナは、急に真面目な顔つきになる。


bkm
prev next
×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -