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「だんだん、慣れてきたみたいだね?かなこちゃん」
「ええ、まあ…。さすがに、1週間くらいいれば」

そうだね、と笑うダイゴさんは楽しそうで、一体どこに笑いのポイントがあるのか、未だに掴めない。

「それじゃあボクは…ここで待っているよ」

どうやら髪を切り終わるまで待ってくれるらしい。お言葉に甘えて…とワクワクした気持ちで中に入った。

この瞬間が…、ひどくもどかしい…。追加の珈琲を頼んで溜息をつく一人の男__ダイゴ。ボクはここから遠く離れた、ホウエンリーグのチャンピオン。理由あってわざわざこっちまで出向いて来たんだけど…、目的はもう果たしてしまったワケで。

「…にしても、ミクリはなぜあんな事を…?」

事件が解決した後。ミクリと、二人だけで話がしたい…と呼び出した。その時に、かなこちゃんに告げたような内容をミクリにも伝えた。

「……?ダイゴ……。きみ、まさか、ここを___」

そう言ったミクリはきっと…、ボクの本当の気持ちに、気づいていたんだろうね…。

「あはは。いや、もちろん…いきなりいなくなったりはしないよ。これからもこのポケモンリーグで、自分の責任は果たす…。ただね、もしボクの希望を、叶えられる時が来たら……、その時は…ミクリ、力になってくれると嬉しいな」

そういうと仕方ないな、と笑ってくれた。ミクリには頭があがらないな…と思ったけど、最後の一言は…余計だったね…。

「ははは。ありがとう、ミクリ……。…それで、この後なんだけど…」
「…また、どこかへ行くんだね…?」
「それで…、もし、かなこちゃんがきみのところへ来たら…」
「…フフッ、わかってるよ、ダイゴ。このミクリが、きみたちを…応援する、約束しよう」

応援…?あの時なぜ…彼はあんな事を…?ボクはいつかなこちゃんが来てもいいように、自分の家に置き手紙をしてきた。あ…、物騒だなって思うけど、ボクの家は何もないからね…?だからこの地方に来た時はびっくりしたよ…。行き先は、ミクリにしか言っていないはずだからね…まさか!!応援って…、かなこちゃんをここに向かわせるという意味だったのか…?何だか途端にミクリにハメられた気がして、悔しくなった。きっと彼の事だ…ボクの、かなこちゃんに対する気持ちも…、とっくに気づいていたんだろうね…。帰ったら彼を問い詰めなければならないな。そうこうしているうちに、イメチェンした彼女が、ボクの前に姿を現した。


bkm
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