夜はコボクタウンのホテルに泊まって、明日の朝イチで帰るよ…とダイゴさん。今日が、二人で泊まる最後の夜だと思うと、また胸が苦しくなったけど。
「そんな顔しないで…ね?もう2度と…、会えなくなるワケじゃあないんだから」
…何でも、お見通しなんだね…。最後の最後までずるい、と思わせてくるこの人は…私の運命の人以外の何者でもない。…身分さえ同等なら。
「あんまり可愛い顔していると…危ないよ?」
クスクスと笑うダイゴさん。冗談でもいいから…、ちょっとだけ、側にいたい。
「…知ってますよ、私。ダイゴさんは、危ない人なんかじゃないって!」
フフフ…と意味深に笑う。その顔が素敵すぎたから…、本当にちょっとだけ……どうなってもいいと思ったのは内緒だけど。
「じゃあ…おやすみ」
「おやすみ…なさい…」
電気を消される。これが本当にここへ来て…、最後の思い出。
「ん…」
ここは…?夢…?ガサゴソと…何か、聞こえる…。ふっと目の前が真っ暗になったと思ったら…幻聴…?耳元で聞こえた…大好きな人の声…。
「…おやすみ、かなこ」
「ん…」
何だろう…何か温かいものが…触れた気がしたんだけど…わからない。これは…、夢…?それとも………翌朝。起きた時には既にもう…、ダイゴさんの姿はなかった。
「…わかってる!今戻っているから…待ってもらって!」
ボクは今…ホウエン地方にいる。約1ヶ月ぶりにこの地に戻ってきた。おやじが何やら話が、とか言うから、バトルリゾートに行く前に話さなきゃならない。行けばなぜかミクリもいる。…ふうと溜息をつく。これが…きっとボクの、現実なんだと思った。この先にどんな未来が待っていても…、ボクはかなこちゃん、きみと過ごした日々を…忘れないよ。
〜part Uに続く〜