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「人間なんて、自然に比べりゃちっぽけなんだな……」

山籠りを始めたらしいレッドと久しぶりに落ち合い、トキワシティに昔からある隠れ家喫茶でティータイムをしながら語らう。互いの身に起きたことを話しながらも、自然と会話はグレンタウンの方へと傾く。

「悩んでる場合じゃないよな…」
「おまえ、何か悩んでんのかよ。まあ…、レッドは真面目な優等生。とはいえ、オレたちにはわからねえ何かに、迷ってることはあったかもな」
「へえ、グリーンがそんな風に言うなんて、変わったね」
「変わった?オレさまが?まさか」
「何て言うかさ、大人になったよ」

大人とは何なのかの定義はわからない。それは自分がまだ子供だからだとは当然に思わないが、そういう括りをされるのがグリーンは実は嫌いだった。人気があって有頂天になっていたのは紛れもない事実だが、有名になったところで、誰からも認められる程の実力がなければ意味がない。

「おまえ、さ」
「なに?グリーン」
「あの山も、崩れたりしないかとか、不安にならねーの?」
「……。ならないと言えば不安になるけど。ポケモンセンターや、街に行くために降りていくことも多いし、何より、強くなるために集中できる」

実力主義だと先程は思ったが、レッドの話を聞くと強さに固執したところでまたこれも、何も生まないのではないかと気づく。つまり…だ。経験と知識、両方を兼ね備えた賢い人間にならなきゃいけない。それには…、ただキスを交わすだけの浮わついた存在なんて要らない気がした。

「……かなこって、さ」
「今度は何だよ」
「好きなやつ、いるのかな…」

さてはかなこに惚れたな?グリーンは心の中でニヤついた。正直幼なじみのそんな話に興味はないが、からかうのはありかもしれない。悪戯心に火がついた。


bkm
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