「どうやった?アニキとのデート」
昨日の出来事を知ってか知らぬか、マリィから呼び出しを喰らった。女同士で入るカフェは幸せでいっぱいなはずなのに…、緊張する。
「アニキ、普段は臆病なくせにお酒が入ると素直になるんよ…。だから、あんたが嫌な想いしてなかったらいいなって」
「マリィ…!ずっと友達だよぉ…!」
「きゅ、急にどげんしたと!?もしアニキが何かしたなら叱るから。隠さず言いんしゃい」
マリィはほんとにいい子。ジムチャレンジの時は敵対心むき出しでツンツンしてる…、どこか違う世界を生きてそうな感じはあったけど、今は。
「ネズさんって、マリィのこと好きだから、あたしに優しくしてくれるのかな…」
「アニキもバカだね、本当。その好きの意味は、あたしに対するのとは違うけん。そんなに好いとーなら、かなこのこと、奪っちゃえばいいのに」
「!?!?」
あたしが恋で悩む日が来るなんて、誰が予想したんだろう。片想いでもいいから自分の想いを貫くか、それとも、想われてる人の元へ行くか。カブさんとの激しいエキシビションマッチは、揺らぐ心を落ち着かせてくれたけど。
「かなこくんと戦えて、ぼくはとても嬉しいよ!また、きみと火花を散らせる日を楽しみに待っているよ」
「こちらこそ!カブさん、いつも熱くて溶けちゃいそうですもん」
「そうかい?それと…直接言えなかったけど、パーティーのときのドレス、似合っていたね」
カブさんにそう言われると照れくさい。だって巷ではイケオジとか言われてるし、普段はユニフォームというカジュアルな姿なのに、スーツが似合ってるとかずるすぎる。ギャップ萌えもいいところだ。
『かなこ、ごめん…先に行っててほしいんだぞ』
「う、うん…待ってる」
明日からのヨロイ島のために、ひとり自分の部屋で準備をする。暑いって聞いたから薄着でもいいかな?とも思ったけど…、念のため上着も入れておこう。そこへホップから電話がかかってきて、告げられた。ちょっと寂しいなんて…チャンピオンらしくないかな。
「大丈夫、エースバーン。一緒に頑張ろう!」
パートナーは利口。何度思った事か。しっかりあたしを慰めてくれたから、朝の日差しを浴びながら元気に出発する事ができた。